『食のジェネラリスト』への期待
実社会で活躍するビジネスパーソンからのメッセージ
「食のジェネラリスト」への期待
本学は、「高度な専門性を兼ね備えた食のジェネラリスト」「実社会における即戦力人材」の育成を目的として設立された大学です。地域・産業からも食にかかわるあらゆる分野で活躍できる人材を育成することが期待されています。講義においても実際に社会で活躍されているビジネスパーソンの方々より講演をいただくことで、実社会の第一線で活躍するために必要な知識・技術を学ぶことができます。
新潟を起点に、ターゲットはグローバルに。

我々が属する「フードサービス業界」の魅力は、大きく分けて2つあると考えています。1つは素材の調達から最終商品に仕上げるまでの過程に携わり、商品やプロセスの設計・修正など、商品のデザインからオペレーションまでを一貫して行うことができること。もう1つは、お客様が商品を食され、どのような評価をしてくださるのか?その結果までを実感できることです。私もこれらに面白みを感じています。
一方この面白みを感じる原点、食に携わる際の出発点として大切なのは「人々が食事をして、満足感や喜びを感じているシーン」をイメージできることです。このイメージを実現するために、加工、食材生産…とさかのぼり、1つ1つの整合性を保ちながら、大事に工程を創り上げていくのです。これは一朝一夕ではできない遠大な取り組みですが、ダイナミックな試行錯誤に面白みがあり、“食のジェネラリスト”としての学びがあってこそ、この重要性を理解し実現できるのだと思っています。
また、今後食の分野で活躍を目指す皆さんが、新潟を起点に様々な取り組み・動きを始める時には、ぜひターゲットを地域や国内だけではなく、アジアを始めとした世界に置いてください。世界においては「アジア全体が1つのマーケット」であり、日本はアジアの1つの地域にすぎません。ターゲットをグローバルに考えることで、「世界的なビッグビジネス」に結び付く可能性が大いにあります。そのためにもまずは、目の前のことに一生懸命に取り組むこと。今の役割を全力で果たすことの積み重ねや連続性が、次のステージやシーンを作り出してくれます。
食料産業は地域の人々の暮らしを支える生活基盤

新型コロナウイルスの影響により生活が一変し、あらためて食料産業の重要性が再認識されました。日本では人口減・高齢化が大きな課題の一つですが、より健康的な生活の提案が必要になっています。一方、世界的には爆発的な人口増加に対して安全な食糧資源をどう確保していくかが課題です。これらの課題解決のため「食品」と「新技術」の融合など産業の枠を超えた「フードテック」が急速に進化し、ますます発展する分野として注目されています。食料産業は、「生産」「製造・加工」「販売」に分けられますが、それぞれの分野の専門性を身につけたうえで、最適なサプライチェーンを構築するジェネラリストとして創造・提案する力が求められます。そのためには特定分野の知識だけでなく国際的な視点や経済などの理解も必要です。「食」を中心に様々な分野に視野を拡げ、未知の分野にも果敢に挑戦する旺盛な好奇心を養い、継続して学び続ける意欲に期待しています。
社会変化のスピードが速く、将来を予測しづらい時代の中にあっても、食品産業は地域の人々の暮らしを支える生活基盤として変化に柔軟に対応しながら、今以上に進化し続けなければなりません。そのような中においてより高い精度で物事を判断し、新しい価値を創造するために食のジェネラリストとして多角的・総合的な学びや経験を得ることが、変化対応に必要な基礎学力を高めることに役立つものと考えます。
食は、私たちが生きていくうえで不可欠なもので、直接人間の体に入るものです。食に携わるうえでの大前提として、何よりも「食の安全」について理解することを忘れてはいけません。また食の分野だけではなく、社会人として働くうえで共通していえることは、やはり“志”をもって仕事をすることです。食を通じて身体だけでなく心も健康にする提案力を磨き、豊かな生活、よりよい社会創りに貢献するという心構えを育んでください。
「食」は普遍であり、変化し続ける面白さがある

「食」は生命の源であり、栄養摂取だけでなく、楽しみや喜びを与え、健康な心と身体をつくるために不可欠な要素です。当社は、食を通じてすべての方に幸せと喜びをお届けすることを理念として活動しています。「食」は、生産・加工・物流・販売まで全ての過程が繋がっており、一つでも欠けては成り立ちません。サプライチェーン全体で、安全・安心且つ安定して商品をお届けするという社会的責任を果たすことで社会に貢献できると考えています。
日本の食を取り巻く環境は急速に変化し、人口減少による国内市場の縮小、食文化の多様化など、様々な課題解決が求められています。また、世界に目を向ければ、温暖化・食糧難・人権問題などの様々な社会課題を網羅した持続可能な社会の実現を目標とする「SDGs」を世界共通の重要課題として取り組まなければなりません。食を通じて様々な課題解決に多角的に取組み、社会に貢献していただきたいと思います。
コロナ禍により人々のライフスタイルや価値観は大きく変容し、食へのニーズも多様化しています。マーケットやお客さまを基軸にフードチェーンを一体的に学ぶことは、不確実で複雑化する予測困難な時代への対応力を育成できます。また今後はあらゆる生産活動において脱炭素社会の実現を意識していかなければなりません。持続可能な社会の実現に向けて、環境変化に迅速且つ柔軟に対応し、課題解決が出来る人財が求められます。
「食」は日常生活に不可欠な要素であり、幸福感や他者とのコミュニケーションを生み出す文化そのものです。だからこそ、普遍であり、変化し続ける面白さがあります。これからの食料産業は、どうあるべきか・どうなりたいかという「未来の姿」を描き、バックキャスティング思考で何をすべきかを考えることで、今の学びが明日へと繋がっていきます。固定観念に捉われない独創的且つ柔軟な発想で食の課題解決に取組んでください。
「食農の匠」からのメッセージ
現代の食料産業界(生産、加工、流通、販売)をリードする「食農の匠」から、これからの未来を担うみなさんへメッセージをお届けします。
私たちの体は、私たちが食べたものでつくられています。「食」に関わる仕事は人々の「いのち」を支える仕事でもあります。「食」の生産から加工、販売まで、「食」に関わる仕事の現場で働く「食農の匠」たちが何を想い、どんなモノづくりをしているのかをインタビューしてきました。「食」の分野で活躍するキミの未来を見つけよう!
食でお客様の命を守り、おいしさを届ける

現在当社では、年間約4億人のお客様にご利用いただいており、安全・安心な商品を提供するために店舗や自社工場で食材の取り扱いや食品衛生の教育など細かな指導を行っています。私は大学で学んだ知識を活かしたいと思い入社しました。店舗での勤務を経て、一緒に働く様々な年代の方に、「もっと衛生に興味を持ってもらいたい」と思うようになりました。
衛生管理の仕事は、お客様の命にかかわることもある責任が重い仕事ですが、その分やりがいもあります。店舗や工場の査察では、食品衛生の知識を理解していただくために監査先に警戒されたり、緊張感が生まれてしまうこともあります。その中でも、積極的にコミュニケーションをとり、相手の緊張をほぐすことや、私自身も相手の気持ちになって伝えていくことを常に心がけています。また、この品質管理部門では、リーダーを含め女性が多く活躍しています。
高校生の皆さんには、学校生活やプライベートでジャンルを問わず様々な経験をしてほしいと思います。私自身も、飲食業界未経験で入社しましたが、店舗での勤務経験を活かし、現在の仕事にたずさわtることができています。今後は、自身が担当しているブランドをお客さまや働いている社員から愛されるブランドにしたいという大きな目標があります。
新潟の農業に挑戦する

自身の会社でトマトの栽培やマーケティングを行っています。1年前からCO2や光の強さを自動で調整できる最新の機器を取り入れた温室でのトマトの栽培をはじめ、現在では新潟県内の有名スーパーへの出荷や、大手食品メーカにも当社のトマトを取り扱っていたただいています。
仕事をする上で意識していることは、「市場が何を求めているか」を考える視点です。品質が良いもの、味がいいものは必ず市場にマッチします。また、トマトは1年中人気のある野菜のため、年間を通して出荷できることは取引先にとても喜ばれます。これらの市場のニーズに応えるため、新潟という環境にとらわれず、様々な方法に挑戦してきました。
今後も様々な作物の栽培に挑戦し、新潟の農業に挑戦していきたいです。この仕事のやりがいは、自分が作ったものが店頭に並び、お客様の手に届く様子が見れるところです。これから「食」の分野での活躍を目指す皆さんにも、一からモノづくりにたずさわり、自分の手で育て上げたものが人に喜ばれるときの達成感をぜひ味わってほしいです。
「食」で日本の文化を支え、発展させる

「かまぼこ」、「さつま揚げ」、「ちくわ」、「おでん」、「伊達巻」、「カニカマ」など幅広く製造しています。特に「かまぼこ」や「伊達巻」は日本の伝統食品であり、おせち料理など日本の食文化に欠かせないものです。
入社のきっかけは、アルバイトで「かまぼこ」の製造にたずさわった時に、「自分が作ったものが商品になる」経験がとても面白く、自分の手で直接食感や味に影響することがすばらしいと思ったことです。現在は工場長としてモノづくりだけでなく、社員のマネジメントにもたずさわっています。
この仕事のやりがいは、日本古来からの伝統ある「かまぼこ」や「おせち料理」を作り、日本人としての伝統行事を自分たちで支え、全国の人が食してくれるというところにあります。そしてそれに応えようとする社員の熱意がさらに良いモノづくりを進めることができるのです。
今後は次世代の人財育成に取り組み、モノづくりを通して、人としての成長ができる環境を整備していきたいと考えています。次世代の食をリードする皆さんが日本の伝統食品である「かまぼこ」や「伊達巻」を発展させ、さらに世界に発信していってほしいと思います。
モノづくりにやってやれないものはありません。作ろうと思ったものは努力を続ければ必ず作れる、その達成感をぜひみなさんに経験してほしいと思います。
「農」と「業」を両立させる

農業は何千年も前から営まれ、今日まで継続されてきた一度として消えたことがない仕事である一方、日本の現実は、少子高齢化により担い手が不足しています。そのことは、若者が活躍して新しいことにチャレンジできる場がたくさんでき、チャンスのある仕事になったといえます。
そう考えた私は、高校卒業後に日本とアメリカで農業を学び、生まれ育った新潟で生産者となりました。独立しローソンファーム新潟を設立したのは2015年3月、27歳の時です。その年の秋には、収穫した米やその米を使ったおにぎりが店頭に並びました。すると、日頃付き合いのある知人だけでなく旧友からも「美味しかった」という声が、私のもとに届いたのです。自分の仕事で多くの人が喜ぶ、農業のやりがいをダイレクトに感じた瞬間でした。
徐々に生産の規模を拡大し、他の生産者や異業種との交流も盛んになったことで、生産だけでなく、その先の加工や流通、そして食卓までを意識するなど仕事の世界観が広がり、農業や経営に向けたアイデアの発見もありました。
食文化を支える「農」とビジネスとしての「業」を両立させ、作る人と食べる人に笑顔をもたらすことが、古くて新しい農業に挑む私の夢です。
企業定着度調査について
実社会で活躍するビジネスパーソンの話が聞ける!
ゲストスピーカーによる講義一覧(2018~2022年度実施)
起業イノベーション論
- NPO法人ヨリシロ 代表理事 浮須 崇徳様
- JAえちご上越 常務理事 岩崎 健二様
- 株式会社穂海 代表取締役 丸田 洋様
- 株式会社宮崎商店(富寿しグループ) 取締役副社長 宮崎 富夫様
- 株式会社クーネルワーク マーケティング部 マネージャー 一木 幸之佑様
- 株式会社ブルボン 常務取締役執行役員 統合企画部長 浅野 和男様
- 株式会社和僑商店ホールディングス 代表取締役 葉葺 正幸様
- 株式会社新潟クボタ 代表取締役社長 吉田 至夫様
- ノルウェー大使館 通商技術部 シニアマーケットアドバイサー 中山 圭介様
- オランダ王国大使館 農務アドバイザー 齊藤 裕子様
- 新潟食料農業大学 特別学術顧問 大泉 一貫様
- アクシアル リテイリング株式会社 代表取締役社長 原 和彦様
- エンカレッジファーミング株式会社 代表取締役 近藤 敏雄様
食産業ビジネス演習Ⅱ
- サントピアワールド株式会社 園長 髙橋 修様
- 安田温泉やすらぎ 常務取締役 木村 正人様
食品学概論
- 新潟県醸造試験場 場長 金桶 光起様
- 八海醸造株式会社 取締役製造部長兼研究開発室長 倉橋 敦様
- あおき味噌株式会社 代表取締役社長 新潟食料農業大学客員教授 青木 光達様
- キユーピー株式会社 研究開発本部 コーポレート・サイエンティスト・フェロー 久能 昌朗様
- 朝日酒造株式会社 新野 義弘様
- 中越酵母工業株式会社 技術・品質管理部部長 木戸 隆様
- 元山崎醸造株式会社 元取締役製造部長 安藤 秀喜様
- 山崎製パン株式会社 総合クリエイションセンター製パン技術開発室 村林 伸嗣様
食品開発・製造論
- カゴメ株式会社 国際事業本部 グローバル品質保証部長 深谷 哲也様
- 日東アリマン株式会社 専務取締役 生産本部長 佐久間 欣也様
- 一般財団法人食品産業センター 技術環境部次長 堀池 俊介様
食品製造学
- 新潟県農業総合研究所食品研究センター 研究員 細野 良太様
- 特定非営利活動法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事 佐々 義子様
食品物性学
- 東京海洋大学 海洋生命科学部 教授 福岡 美香様
食品科学
- キユーピー株式会社 研究開発本部技術ソリューション研究所 プリンシパル・コーポレート・サイエンティスト 半田 明弘様
生物資源循環論
- (公社)新潟県水産振興協会 専務理事 藤田 利招様
畜・水産物利用学
- 新潟県水産海洋研究所 参事 海老名 秀様
- 東京工科大学 助教 阿部 周司様
食品企業論
- 一正蒲鉾株式会社 技術研究部長 中野 晃様
- 一正蒲鉾株式会社 技術研究部 技術研究課 大塚 葉奈子様
地域政策論
- JA新潟中央会 総務企画部 企画広報課課長 熊木 衛様
- 楡井農場 代表 新潟県県議会委員 楡井 辰雄様
食料産業概論
- 一般財団法人食品産業センター 振興部・海外室次長 山口 隆司様
- 一般財団法人食品産業センター 企画調査部次長 池田 祐一様
- 明治ホールディングス株式会社 執行役員 サステナビリティ推進部長 松岡 伸次様
環境科学概論
- 新潟県立「環境と人間のふれあい館」 主査 伊藤 好規様
食品安全学
- 新潟県福祉保健部生活衛生課 主任 齋藤 正隆様
- 株式会社ニチレイ 取締役執行役員 川崎 順司様
- 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会NACS消費生活研究所 所長 戸部 依子様
動物生産学
- 東京海洋大学 学術研究員 海洋生物資源学部門 准教授 遠藤 雅人様
ビジネスプランニング
- 長岡大学経済経営学部 教授 新潟食料農業大学ビジティングフェロー 栗井 英大様
- 一般社団法人新潟県起業支援センター 代表理事兼CEO
新潟食料農業大学 ビジティングフェロー 高橋 秀明様 - 田中税務経理事務所 営業・相続部長 税理士
新潟食料農業大学ビジティングフェロー 田中 悠馬様 - FOOD DESIGN HONMA代表 新潟県6次産業化プランナー
新潟食料農業大学ビジティングフェロー 本間 真弓様 - 株式会社いえい 会長 新潟食料農業大学客員教授 家井 定一様
- 有限会社フジタファーム 代表取締役 新潟食料農業大学客員教授 藤田 毅様