【第8回②】食べもので体をつくり、食べ方で心をつくる <その2 食育について考える>

学長コラム 2017.12.22

「食育」とは何だろう 
「食育」という言葉は古くからありましたが、大きく取り上げられるようになったのは、
ここ15年ぐらいで、今では「食育基本法」もできました。
「教育」を構成するのは、「知育」、「徳育」、「食育」、「体育」でこれらは関連し合って成果を得ます。
<禅宗>の寺院では、食事の場は徳育・教育の場にもなっています。
「食堂」の名の由来は、禅宗の<じきどう>(食堂)から来ています。
また、曹洞宗大本山の「永平寺」の僧侶の位では、「典座<てんぞ>=料理担当僧」が最も高いとされています
 食育基本法の標語は「早寝、早起き、朝ご飯」とシンプルなものでしたが、
吉田松陰を生んだ山口県では、「食べもので体をつくり、食べ方で心をつくる」 と教えていると聞きます。

「共食(きょうしょく)」がポイント 
<カンパニ->(仲間・会社)の語源は「カン(一緒に)」「パニ(パンを食べる)」だそうです。
歴史学者の藤原辰史さんは、「(子どもの)幸福追求の中心には食べものを据えるべきで、
食べて考える、考えて生きる、そのためには食事らしい食事の機会、
場所(居場所)が与えられなければならない」といいますが、全くそのとおりです。
そうなると、集い、食べる場としての家庭、学校、地域の連携プレ-が大事になります。
お祭などの地域行事には、小中学校も休校にして参加し、伝統食を味わうといいでしょう。
また、学校給食も「補食や栄養補給」の給食から「食文化」への転換が必要になります。

生産、調理、サービス、食事
食育では、フ-ドチェ-ンを意識することが重要になります。例えば小学生向けの食育教室では、
つぎのようなことが考えられます。
①校舎の壁やプ-ルサイドの高さを利用して土盛りし、サツマイモやダイコンを自ら作る。
②家庭科室でご飯を炊き、サツマイモやダイコンを使ったおかずを自ら調理する。
③自ら生産、調理したごはんとおかずを「盛り付けサ-ビス」して、友達や家族に食べてもらい、
点数も付けてもらう。自分の作ったものを“評価”される経験は、
食べてもらうとはどういうことかの意識づけ(マーケットイン)になるのです。

NAFUでも学生が主体となって、学校農場を開放したり、農福連携の場にすることで、
地域の方々の「体」と「心」づくりに貢献して欲しいですね。

*次回は、「食べ残しをゼロに NAFUの資源循環システム」です。     (渡辺こうめい)

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