学長コラム

【第11回】アメリカ映画に見る食料・農業

2018.01.26

「閑話休題」第6回の学長コラム(GMO)で映画「キングコ-ン」を取り上げましたが、
それに因んで、アメリカ映画に登場する食料・農業の姿を取り上げたいと思います。

怒りの葡萄(1940年 ヘンリー・フォンダ主演) 
1920年代の経済不況、農業不況(農産物価格低落、砂嵐災害)に見舞われた中西部から
西海岸へ移住の旅ですが、砂嵐(Dust Bowl)は、単なる自然災害でなく、
背景には、農業の機械化・集約大規模化、資本主義化があります。
トラクタ-の発明・普及は、抜本的に生産性を向上させましたが、
同時に、農地の過度深耕、堆肥など栄養分不足、土壌流出と農村地域での過剰就業を招きました。
実際にも、アメリカのミシシッピ川もテキサス・オクラホマの「レッドリバ-」も、
日本とは違って赤く濁っています。機械化、技術化には、損なわれるマイナス点を補う視点が大事です。

機械化と農業、戦争との関係は、「トラクタ-の世界史」(藤原辰史)が参考になります。

エデンの東(1955年 ジェームス・デイーン主演) 
1917年当時のカリフォルニア・サリナスを舞台とし、主題は、父と息子、
兄と弟の人間関係ですが、父親の栽培するレタスが重要な役割を果たしています。
父親に疎外されていると感じた次男のキャルは、自らの存在価値を認めさせようと一攫千金を夢見て、
カリフォルニアのレタスを冷凍保存し、貨車で東部に輸送しますが、
途中での雪崩により通行不能、腐らせて大損をします。
コ-ルド・チェ-ンが整備されていないころの生鮮食料品の流通とマ-ケットの関係を通し、
農産物は、ただ作ればよいのではなく、届いて・使われてこそが最終使命であると分かります。

目撃者(1985年 ハリソン・フォード主演)  
アメリカ社会、とくに農村の多様性を知ることができる傑作だと思います。
正式名は、たぶん「刑事ジョンブックの目撃者」(Witness)で、
空港トイレで殺人犯を目撃したア-ミッシュの少年と母親を守るため、
ア-ミッシの村に入る刑事、追いかける犯人は身内ともいえる警察官であることから話は複雑になります。
この物語では、16世紀のオランダ、スイスに発し、
迫害から逃れてアメリカに移住してきたドイツ系住民の伝統的な生活、
石油由来のものは使わない、有機農法での農業生産、すべてを住民共同で行う生き方が見事に描かれます。
ペンシルバニア州ランカスタ-地域などが有名ですが、いまでも各地にア-ミッシュの村があります。
自動車道でゆうゆうと1頭立ての馬車を操り、衣服も木綿、麻などの天然繊維、
色は白と黒、ボタンは貝というスタイル、農場は、人力、馬力が中心で動かす姿を見たとき、
人間の生き方を拘束しないアメリカの多様性を強く感じました。
英語では、<It’s OK,Not me!>と表現します。

他にも、農業更生局に差し押えられたアイオアの農場の競売を地域コミュニテイ全体で阻止する映画
「カントリー」(1984年 ジェシカ・ラング主演)も印象深いものがありました。

映画を入り口に食料・農業分野における問題を考えてみるのも良いきっかけになります。

  • *次回は、「有機農業について考える」です。      (渡辺こうめい)
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