学長コラム

【第12回】有機農業について考える

2018.02.02

「有機農業」の始まり 
農業生産を高めるために有機物を肥料として投入するのは江戸時代からごく自然のことでしたが、
科学的、哲学的に系統だてたのは、一楽照雄さんで、1971年ごろのことでした。
「経済の領域を超えた価値を有する、豊かな地力と多様な生態系に支えられた土壌から生み出される
本来あるべき農業のあり方」と提唱したのです。

有機農業推進法 
10年ほど前にできたこの法律では、有機農業の「定義」を
<化学的に合成された肥料、農薬を使用しない、遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本に、
農業生産から環境への負荷をできる限り低減した農業>といっています。
これを規格化した有機JASには、「有機農産物」と「特別栽培農産物」の2つの基準があります。

なぜ有機農業なのか 
農業生産の母体は「土壌」です。気の遠くなるような長い時間をかけて動植物の遺体(有機物)が
蓄積されていまの豊かな土壌があるのですが、雨の多い日本では、
微粒子や養分が洗い出されてしまう弱点を持っています。
土から抜け出したものを直接に補う必要が出てきます。
ブルガリアのヨ-グルトも、かつては海で、隆起した草原の土・草には魚類や海藻由来の養分が含まれ、
乳牛が育つと聞いたことはないですか。

なにを目指しているのか 
有機農業を研究する方々は、①安全・良質、②自然・環境、③地力・地域、④生物多様性、
⑤生産者・消費者の連携、⑥農の価値などといいます。
自分の経験でも、長野県安曇野の自宅のすぐ前の畑(水田)では、
加工用のトマトを「無農薬」「無肥料」で3年連作するのを見ましたが、順調のようでした。
そして、生産方法にこだわる消費者の方々と連携し、商品向け収穫の後には、
最後に残ったトマトをみな引き受けていました。
家庭でピュレ-などにしてビンに詰め、冷凍・冷蔵保管して料理に使うのだそうです。
注意することは どんな成分がどのくらい足らないのかの「土壌分析」から始めます。
また、有機物は、「発酵すれば益、腐敗をすれば害」ですから、たい肥づくりには慎重を要します。
加えて大事なことは「濃度」と「必要量」で、<過ぎたるは及ばざるがごとし>です。

NAFUの稲作実習でも、一般的な「慣行栽培」と「有機農法による栽培」を体験します。

  • *次回は「やはり気になる食料自給率 その①いろいろなタイプの自給率」です。(渡辺 こうめい)
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