新潟食料農業大学 Niigata Agro-Food University

学長コラム

【第47回】サステイナブル・デイベロプメント ― 漁業と資源管理

2018.12.14

今回は、<閑話休題>として、水産における「資源管理」を取り上げました。
農林漁業は、いずれの場合でも、「自然に働きかけて成果物を得る生命産業」といってよいと思います。
そこでは、できるだけ多く・効率的に採りたい、有効に使いたいと望みます。

農産物・食品では、最近ロスを減らそう、フ-ド・バンクと子ども食堂を支援しよう
食品残渣は堆肥化して循環させよう、未利用資源を積極に利用しよう
「もったいない」を意識しようなどと盛んにいわれるようになってきました。

漁業は「資本と利子」の産業 
水産物の場合にも、食品・農産物と共通の考え方がありますが
加えてここでは、安定的な生産を確保するため<産卵→繁殖→成長>というサイクルが完全でなければ
「ジリ貧」になり生産量が低下するという恐れがあります。
元本(資本)を絶対に減らさず、いわば「利子だけで永遠循環する」工夫と仕組が不可欠なのです。
北海道・野付湾の<打瀬舟(うたせぶね)> 622日の新聞報道に
写真とともに「別海町・野付湾で、21日に、ホッカイシマエビの夏漁が始まり
<打瀬舟>の三角形の帆が波間に揺れていた」とありました。
エビが生息している浅瀬の海藻を傷めない、必要以上の馬力で過剰な漁獲をしない(元本を減らさない)という考え方から、
漁場近くまではスクリュ-で走るのですが、漁場では「帆と風の力」だけで船を動かし
網を引くという先人の工夫です。

 平家物語 巻七 
ここには、“流れを尽くして漁るときは、多くの魚を得といへども、明年に魚無し。
林を焼いて狩るときは、多くの獣(けだもの)を得といへども、明年に獣無し”とあります。
自然の恵みを長く受け取るために、農林水産物の「資源管理」は、昔からの大原則でした。

 農業に映してみれば  
これを植物生産である農業に映してみるとどうなるのでしょうか。
たぶん、生産母体である農地の地力を十分に保つ、水利を効率的なものにする
種子を改良・更新する、栽培技術を高く維持するなどが当たるかもしれませんが、
周辺環境との調和、生物多様性の尊重、昆虫類との共生なども含まれるのではないでしょうか。

「鳥の目」、「虫の目」で、どういう要素と組合せが大切なのか考えてみてください。