大学院生研究紹介

■大学院生 研究紹介
大学院へ進学したきっかけや、大学院で行う研究内容を紹介します。

水田における生分解性プラスチックPHBHの分解と分解微生物に関する研究
食料産業学研究科 食料産業学専攻 フード領域
1年 渡辺 崇志さん
学部生時代は、生分解性プラスチックPHBH(3-ヒドロキシブチレート/3-ヒドロキシヘキサノエート共重合体)の水田における分解性について研究しました。PHBHの分解に伴うガス発生量のモニタリングから、水田環境でも分解できることが示唆されたため、大学院では分解過程や分解に直接関わる微生物の特定を目指します。また、PHBHは高分子であり、自然環境中の微生物が相互に関わり合って分解されていると考えられます。このため、微生物集団としての特徴などについてもアンプリコン解析で明らかにしたいと考えています。
大学院への進学理由
就職活動も行っていたのですが、社会と接するうちに自身のさらなる成長が必要と感じました。そこで大学院に進学し、特に課題解決能力を身に着けたいと考え進学を決めました。

自然発酵味噌に存在する微生物の解析と展望
食料産業学研究科 食料産業学専攻 フード領域
1年 原 健さん
味噌屋である実家の味噌をサンプルとし、培養法や菌蓑解析などの方法を用いて実家の味噌に存在している微生物の多様性を調査するというものです。その調査結果を元に、今後の自然発酵味噌の可能性について研究しています。私は将来、実家の味噌屋を継承する予定です。その際に持ち帰れるものを考えたとき、知識やデータが一番有益なものになると考えたため、大学院で本研究を掘り下げることに決めました。
大学院への進学理由
大学4年次に取り組んだ、味噌中の微生物についての卒業研究を発展させたいと思ったからです。実は内定先が決まっていたのですが、研究を進めていくうちに発酵や味噌について究めたいと強く感じ、進学するに至りました。
食用昆虫生産過程で発生する有機性廃棄物の農業利用についての研究
食料産業学研究科 食料産業学専攻 アグリ領域
1年 郡司 青空さん
昆虫生産過程で排出される糞、脱皮殻、死骸、飼料残渣を作物生産に利用し、有機質肥料としてどのような効果を得られるかを成分分析をすることで元素組成を明らかにし、科学的に肥効を明らかにすることを目的とします。また、昆虫の脱皮殻、死骸に多量に含まれるキチンは窒素質肥料や土壌病害抑制に期待されているため、微生物学的観点より分析しその効果や有用性について明らかにしていきます。
大学院への進学理由
大学の研究をさらに発展させ、より高度な研究技術を身につけるため大学院進学を決めました。本大学院では、3つの領域から自分の将来の目標にあった科目を選択でき、生産から販売までのフードチェーンに関する高度で専門性の高い学習によって、研究だけでなくマーケティングや流通システムも同時に学ぶことができることが魅力です。大学院卒業後は、食料産業に関する総合的な技術や知識を発揮して、社会での活躍を目指します。
絶滅危惧Ⅰ類雑草アゼオトギリと共生する省力的水田畦畔管理方法の構築
食料産業学研究科 食料産業学専攻 アグリ領域
1年 笠井 貴裕さん
初年度はアゼオトギリの種子から発芽個体あるいは越年株からの発生シュートのラウンドアップに対する反応について生育段階を追って解析します。その結果から、アゼオトギリが生残するラウンドアップの散布タイミングと薬量を明らかにし、二年次には埋土種子あるいは越年株からのアゼオトギリの発生と、管理対象である雑草の生育状況を調査します。得られた結果から、雑草を防ぎながらアゼオトギリを残せる、省略的な畦畔管理方法を考案する。
大学院への進学理由
四年生時の自身の卒業研究である、「絶滅危惧畦畔雑草アゼオトギリの危険要因と生残要因の解明研究」について、更に研究を進め、アゼオトギリという植物の性質を詳しく解明したいと考え進学を決めました。
トマト育苗生産中の水疱症発生に関する環境要因の解明
食料産業学研究科 食料産業学専攻 アグリ領域
1年 薛 佳镒さん
「苗半作」と言われるように、苗質はその後の生育に大きく影響する。本研究は、トマ ト育苗中の水疱症(生理障害)発生に関する環境要因の解明と発生予測を目的とする。
大学院への進学理由
生命、環境、社会に関する科学を基盤とした食と農に係る学術の理論及び応用を研究しその深奥を究めるとともに、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことをもって、地域と国際社会の発展に貢献します。