【第86回】畠と畑、「焼き畑」

学長コラム 2020.10.9

とかく誤解の多い焼畑農法について話します。 

 

  • 村上・山北の名産「赤かぶ」と焼き畑 

村上市などのHPを見ると、『山北地区の焼畑農法は、林業と結びついて、

環境調和・自然循環に役立つ農法=灰の文化であること、

焼畑農法で生産される「赤かぶ・赤かぶ漬」は、

栄養豊かで味がよいと評判』という紹介があります。(さんぽく生業の里) 

また、小学5年生が、総合学習で体験した記事もあります。

村上は<鮭と酒>だけではなく、焼畑農林業・農山村の景観も、地域の宝物といえます。 

なお、赤かぶは、山形県鶴岡市 温海町のものと種類が同じ「温海かぶ」で、

1950年代の杉の人工林伐採跡地で、この焼畑農法が始まりました。 

 

 

  • 網野善彦 

ここでちょっと、高等学校時代の恩師で歴史学者「網野善彦」の話をします。

先生は、講演のなかで、 

<「ハタ地」は「畠」(ハタ)といい、中世では、 

火偏の「ハタ」=「畑」は<焼き畑>のことです。

普通は、「畠」という字を使います。

また、焼き畑ではない「ハタ地」は、「常畠」(じょうばた)ともいう>と話されています。 

 

 

  • 「農業と経済」- 農村文化の新潮流 

昭和堂(書店)が発刊している「農業と経済」(6月号)では、

「現代によみがえる焼畑(山村と都市をつなぐ地域文化)」を特集していました。 

そこでは、環境破壊の元凶と見なされがちな「焼畑」が、 

実は<世界各地で行なわれている研究からは、 

伝統的で小規模な焼畑は環境破壊であるどころか、 

持続的な環境利用システムであることが明らかになってきている>と説明しています。

また、そこに、多くの事例とともに紹介されているのが、

村上市・山北(さんぽく)の「赤かぶ・焼畑栽培」でした。 

少々かたい本ですが、興味のある方々には、ぜひ、一読をお勧めします。 

 

 

  • 内容のポイント

1.熱帯地域での「商業プランテーション造成」のような開発のために森林を耕地化する

 森林焼き払いと「焼畑」が同一視されがちである。

2.焼畑の定義とは、「ある土地の現存植生を伐採・焼却等の方法を用いることによって整地し、 

   作物栽培を短期間おこなった後放棄し、自然の遷移によりその土地を回復させる休閑期間を 

   経て再度利用する、循環的な農法」である。

3.休閑期間に発生が促される山菜類を初めとする山の恵みが、ユニークな食文化を育んできた。

4.焼畑は縄文時代から行われてきた。水田農業と共存しながら続いている。(学長コラム第73回参照) 

5.焼畑には、伝統継承型、ブランド作物型、むらおこし・観光型、環境再生・林相転換型、

   農林業複合型、大学研究型などのタイプがある。 

6.地域としては、山形、新潟、福井、滋賀、静岡、島根、高知、宮崎、熊本の多岐にわたっている。 

   若草山焼きや阿蘇の野焼きのように、地域文化が資源になり、都市と農山村をつなぐこともできます。 

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