【第94回】賀川豊彦の 「立体農業論」

学長コラム 2021.2.12

農業の発展方向の重要な柱として、つとに「六次産業化」がいわれる。
しばらく前までは「農商工連携」が華やかだったが、今ではもっぱら六次産業化だ。

 

六次産業化の正しい意義

発案・提唱者の今村奈良臣先生に伺ったが、その正しい定義は「地域社会に起点を置いて、一次(農)×二次(工)×三次(商)を複合・総合すること」である。
「足しても掛けても6だ」などという解釈は間違いで、「一次産業である農と地域がゼロなら掛算の答はゼロ」なのだ。
その点で、足算のニュアンスが強い「農商工連携」よりは、一歩前進したものともいえる。

 

賀川豊彦が提唱した立体農業論

はるかに先立つ世界大恐慌下の1930年代、農村における地域資源を巧みに組み合わせ、自前の力で「農村更生」を図ろうとした人物がいる。
農協共済の生みの親「賀川豊彦」、その持論が「立体農業論」だった。
地域資源を徹底調査・総動員し、複合経営をする、地域自身の手で付加価値をつけて商品化する、底流では「六次産業化」に共通するものがあるだろう。
賀川は、市場(商品)を十分意識するが市場には振り回されない、農村地域はそれだけの力をつけようと訴えている。
農業恐慌下の農村地域の自立を描いた小説「乳と蜜のあふるる郷」や「死線を超えて」の主題は「地域と自立」ではなかったか。それを、協同の精神で対応、実現しようとしたのだ。
なお、農政の先達・山崎延吉の「五角形農業」(複合農業論)も面白い。

 

丸岡秀子と農村婦人活動

また、「立体農業論」でも小説のなかでも、賀川は「地域の力の源泉は、学ぶ(知る)→運動する→実践する」と説いているように思える。
話題は変わるが、NHKの「アーカイブス」で「あの人に会いたい」という番組を見つけた。
そこに、長野の協同組合運動家・丸岡秀子(1903~1990年)へのインタビューが残っているが、賀川の運動と共通するものを感じた。
丸岡の出身地・佐久市のHPには、実践活動「コスモプラン」で、農村地域の女性に、<読む→書く→行うを推奨>と紹介しているからだ。
そして、番組での丸岡の結論は、“読むことは知識を得ること、書くことは自分を確かめること”であった。
これは、老若男女を問わず、誰にでも通じることだろうと考える。

 

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