【第111回】納豆 その3 水戸納豆の由来など

学長コラム 2021.10.8

納豆の第3回目です。これまでの2回は、2019年の11月ごろに「学長コラム」で取り上げています。
今回は、それを振り返りながら、第3話につなげたいと思います。

「尊王攘夷 ‐ 水戸学の400年」(片山杜秀著・講談社選書)という本を読みました。この中に、本論とは別に、水戸学を生んだ風土として、茨城の名産「水戸納豆」に関する記述があり、新たな知識も得られましたので、紹介しましょう。

納豆 その1で取り上げたのは  

① 誕生の時期は弥生時代だったか、平安時代だったのか

源義家の奥州征討(後三年の役)で偶然に生まれたという伝説がある

水戸黄門が愛用した納豆は「黒大豆」が原料だった

 

納豆 その2で取り上げたのは

① 伝統的な納豆が 三角形の経木(きょうぎ)に入っているのは、経木の原料のアカマツがアミノ酸を促進するからだ

② 納豆は、世界に普遍的な食品で、仲間は西アフリカのセネガルにもある

③ 日本の発酵食品文化は世界一である

 

納豆  その3  

それでは「尊王攘夷‐水戸学の400年」から納豆の知識に関する部分を引用し、紹介しましょう。  

(1)納豆の製法は難しくない‐大豆(できれば小粒)を煮て、柔らかくなったら、温かいうちに、(納豆菌を含む)藁(わら)で密封し、まとめてさらに藁で包む。

(2)釜に湯を沸かし、すのこの上で蒸気を通して、雑菌を殺して、納豆菌を旺盛にする
すると、一晩で糸を引くようになり、納豆が完成する。             

(3)たくさん出来ても日持ちがしない。
保存食とするには、納豆に塩をまぶして、天日干し、乾物にする。(熱帯地域の乾燥納豆・テンペに似ている)

(4)日本で納豆を多く食する地域は、馬と縁のあるところダブる。ベスト10は、青森、岩手、山形、福島、群馬、秋田、宮城、茨城、栃木、富山、次いで、北海道、新潟、長野、神奈川、熊本の順である。(新潟は12位)

(5)「源義家・後三年の役が納豆の起源」という伝説は、<馬糧としての大豆>と<馬の体温(発酵)>が結びついたと考えればよく分かる。

(6)(水田作の)稲わらと(畑作の)大豆が出会うところでこそ、納豆がおいしく作れて、食生活にも定着する可能性が高い。畑と水田が出会うところ、基本的には、痩せた関東ロ-ム層の田畑の境目水戸藩領だった。

尊王攘夷論の本論の方は、やや難解でしたが、水戸納豆についての解説は楽しい。いまや大豆は、フ-ド・テックの発達により、食肉の代替、卵の代替などへ活躍の機会が見込まれています。大豆を原料とする納豆も、消費のベ-スは世界中にありますから、たとえば、「利便性の高い乾燥食品」として、幅広く世界に進出のチャンスが訪れるのではないでしょうか。        

 

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