【第116回】ある夏の日の思い出 ― 音速を実感する

学長コラム 2021.12.17

“あはれ ことしの秋もいぬ(去ぬ)めり”とか詠われます。

百人一首75番・藤原基俊のこの歌の全文は、「契りをきしさせもが露の命にて あはれ ことしの秋もいぬめり」で、
「契り」つまり、約束していたのに、あれもできなかった、これもできないと、何だか愚痴っぽい歌なのですが、本年は「新型コロナ禍」に明け暮れましたから、その気持を表してくれているようにも解釈できます。

さて、そのようなことで、今回はある年の夏のちょっとした思い出を綴ってみました。

 

花火は鎮魂の行事

30回ほど前に、長岡の花火大会第79回)を取り上げ、旧暦のお盆のころ(8月15日前後)開催される花火大会は、その多くが、祖先の霊や戦没者の慰めるものと記しました。
長岡の花火も、空襲被災者の鎮魂が始まりです。

私の自宅がある信州・安曇野穂高では、例年、8月14日「諏訪湖花火(15日)」に先立って、ワサビ田の近く犀川(さいがわ)の河原から12,000発が打ち上げられます。
夏の宵には、自宅2階から眺めたり、ときには自宅の前の農道に椅子を持ち出し、蚊取線香を炊きながら、家内と二人で打ち上げられる景色を見物する、また、ご近所の方々とおしゃべりをして、ひとときを過ごすことにしています。

 

万水川から犀川へ

ちなみに、わが家のロケーションですが、標高500mぐらいのところに位置しています。
安曇平では、万水川(よろずいがわ)が最も標高の低いところ(約350m)を流れ、やがて犀川に注ぎます。
そして、近くの県営の運動場などからは、万水川に降りる階段がつけられていて、地域の人々はそこからカヌーやラフトで川下りを楽しんでいます。とてもリッチでしょう。
こうして、ゆったり時間が流れる“むらのくらし”を楽しむのもよいものだと思います。

 

花火大会の会場から3.4㎞

つぎは、花火見物がキッカケで「科学の問題」への正解に気づかされたという話をします。
もう一度、わが家のロケーションですが、標高ではなくて花火大会の会場からの距離を紹介します。
画像としてわが家すぐそばの「柏矢町交差点」の標識を掲げます。
この案内にある「わさび園」(大王わさび園)までの直線距離を測るとわが家からも同じ3.4㎞程度と見てよいでしょう。

 

音速を実感する

会場方向で「打上花火」がピカッと輝いたかと思うと、それから数えて<1、2、3、4…>、約10秒後<ドーン>と「打上げ音」が聞こえます。
なるほど、音速は340m/秒、したがって、わさび園からわが家まで直線距離はその10倍、3,400m=3.4㎞かと実感できたのです。

こんなことも、ある夏の日のちいさな思い出になりました。

 

長岡の花火大会も、本年は「各地分散型」になりましたが、来年は再び活気が戻って、目的のとおり戦争で亡くなった人々の慰霊と戦後復興に尽力した方々への感謝を、そして、世界平和の祈願がかなうように祈っています。

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