【授業紹介】食品排出事業者と生産者のリサイクルループの構築<食料産業実践論Ⅱ>

授業紹介 2022.12.1

4年次必修科目の『食料産業実践論Ⅱ』では、4年間の学びの集約として、共通課程で修得した食・農・ビジネスの総合的な理解や、コース課程で修得した専門知識や食料安全保障に配慮した食料産業に関する知識を統合しながら、異なるコースの学生と共に互いの専門性・志向性を理解・尊重しながら連携・協働して学びます。食料産業現場の理解を更に深めると共に、次代の食料産業を担う意義を理解し社会での活躍について意識を高めていきます。

 

11/30(水)に行われた講義では、株式会社日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋 巧一 様をお招きし、私たちの身近な問題である『食品ロス』についての取り組みについてお話をいただきました。

日本では1日に約7万トン(25mプール140杯分)の食品廃棄物が出ており、年間で2,531万トン。そのうちの5分の1はまだ食べられるもの(食品ロス)とのこと。講義の前半では、廃棄した食品の処理方法の現状や廃棄物となってしまう仕組みなど、食品ロスの背景や、食品調達による環境破壊など、食品ロスが引き起こす問題をお話しいただきました。また、日本フードエコロジーセンターでの様々な取り組みについてお話いただきました。

日本フードエコロジーセンターでは、食品関連事業者で出た食品廃棄物から豚の飼料を製造(エコフィード)し、養豚業者へ提供しています。さらに養豚事業者と協力して付加価値のある豚肉を生産し、食品廃棄物を排出した事業者でブランド肉として販売するというシステムを作り上げており、これによってエコフィードを使った「リサイクルループ(循環型社会)」を構築し事業化をしています。食品廃棄物をリサイクル(飼料化)し、有効活用するとともに、食品関連事業者と養豚事業者の双方のコストダウンが可能になり、またフードエコロジーセンターは双方からの収入がある為に、継続性の高い雇用を確保することができるという、3者にとってメリットがある(WIN・WIN)のビジネスモデルを構築しています。

また、事業の内容や取り組みを伝えるために自社の工場見学を積極的に受け入れたり、リサイクルループのモデルを増やすために様々な自治体や企業への啓発活動を意欲的に取り組まれているとのことでした。

学生達からは『消費者行動を変えるための様々な取り組みをされていますが、他にも取り組みはありますか?』や『このような取り組みは都市部ではないと難しいのでしょうか?』など様々な視点からの質問がありました。

講義の後半では、グループワークを行いました。5~6名のグループに分かれて、生産者・食品関連事業者・流通業者・消費者・行政・NPO法人など、立場を選んで、その立場からフードロスの問題を解決するためのアイディア出しを行いました。

流通業者の立場で考えたチームは流通の流れを各セグメント(輸送・在庫管理など)に分けてそれぞれの視点で課題解決策を上げ、飲食店の立場で考えたチームは、考えられる現状の課題を想定し、課題に対しての解決策を考えるなど、様々な視点でアイディアを出していました。

フードロス問題は私たちの身近なものになりましたが、実際にどうしたら良いのか?様々な立場でどのような課題があるのか?ということを深掘りし、学生達にとって、食に係わる仕事に携わる人として、また自分事として消費者の一人である立場としても、深く考える貴重な機会となりました。

貴重なお話をしていただきました髙橋様、ありがとうございました。

 

≪関連リンク≫
株式会社日本フードエコロジーセンター

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