【学部長メッセージ】-新型コロナウイルス感染症対策と授業について-(5月7日)

2020.05.11 お知らせ

 

学生の皆さんへ

 

新潟食料農業大学は、新型コロナウイルス感染症に対して「感染しない、させない」ことを最重点項目に掲げ、ウイルスを大学キャンパスおよび周辺地域に持ち込むことを極力避け、学生、教職員、地域の住民の健康を守ることを基本方針として対策を行っています。

5月4日に政府から緊急事態宣言の延長が発表され、新潟県においても5月20日まで緊急事態措置を延長することが発表されています。現在、新潟県は全国都道府県の中位程度、東京の1.6%程度の感染者数に留まっています。県からは、県外移動や接客を伴う飲食などの自粛要請は継続するものの、大学への休業要請を解除するなど、自粛範囲の緩和が発表されました。

しかしながら、新潟食料農業大学は、学生の出身地が全国各地に及んでおり、また県内においても通学範囲が広く、公共交通機関を利用するものも多いため、感染リスクは低いとはいえないことから、前期の授業は原則的にオンラインで実施する方針を継続することにしました。

現在把握している中では、新入生、在学生ともに約9割の学生は新潟県に在住または転入しています。

学生の皆さんは大学キャンパスを目の前にしながら通学できず、さらに緊急事態宣言の延長に伴って不自由な生活が続くことになり辛いことと思います。また、特定警戒区域に指定された13都道府県から、新潟へと移動できずにいる皆さんはさぞ苦しいことでしょう。

しかし、自身が感染しない、地域に感染を広げないということを心において、もうしばらく自宅に留まってオンラインで学ぶようお願いします。

教員はできる限り質の高い授業をオンラインで行えるよう準備しています。使用するオンラインシステムでは、双方向性の授業が可能です。学生の皆さんの声を聴き、教員と学生や学生同士で意見を交わしながら授業を進めることができます。是非、授業中には積極的に発言してください。また、授業終了後もメールなどを使って質問を受けますので、こちらも積極的に活用して下さい。これまでと違って対面での会話はできませんが、ネットを介することによって、意見や質問を発しやすくなるかもしれません。皆さんとともに、これを機会に新しいより良い授業形態を作って行きたいと思います。

 

皆さんは、この緊急事態の特殊な環境の中で、学習や生活に関して、様々な不安を抱くこともあるかと思います。

大学ではメールや電話、TV会議システムなどを使用して、問題を一つずつ拾い上げて解決できるよう学生ひとり一人と密な連絡をとる体制を整えています。些細なことでも構いません。是非、気軽に学務課窓口に電話やメールをして下さい。勉学に関しては関連する分野の教員、日々の生活に関しては担任教員や職員、精神的・身体的な問題は医務担当者が親身になって対応します。

 

新型コロナウイルス感染症に関しては、様々な情報が錯綜しています。現時点の情報を、動物およびヒトの病原体を45年にわたって研究してきました私としてまとめておきます。エビデンスがあり、正しい可能性が高い情報を抽出して記します。病原体に立ち向かうには情報を正確に理解して、不確かな情報に惑わされないことが大事です。

新型コロナウイルスに感染しても、30〜50%は無症状ですが、肺炎等で重症化した場合、致死率が高く、若者でも死ぬことがあります。とくに、免疫細胞からの過剰なサイトカインが放出されるサイトカインストームが起こった場合は多臓器不全に陥り、人工呼吸器を用いても回復は難しいようです。近々、治療薬が認可されようとしていますが、まだ特効薬とは言えません。副作用にも十分注意する必要があります。ワクチン開発には1年から1年半が必要です。遺伝子組換えワクチンは短期間に開発可能ですが、免疫付与能力が低い可能性があります。

4月27日に国立感染症研究所による新型コロナウイルスに関するゲノム分子疫学調査結果が報告されました。これは、国内562 患者から採取したウイルスのゲノム解読を行い、世界各地4,511患者から採取されたものと比較したものです。ウイルスの遺伝子を解析して、遺伝子配列のわずかな違いを指標として、ウイルスの世界的な移動(感染したヒトによって運ばれる)を明らかにしたものです。

ダイヤモンドプリンセス号由来株と日本に初期に侵入した武漢株は、すでに国内の患者からは検出されず、消失したことが明らかとなりました。武漢株の感染者は1月20日に国内で初めて発生しましたが、4月1日の発生が最後です。すなわち、中国から侵入した株は2ヶ月半程度で消失したことになります。現在、国内で検出されているものは、すべてヨーロッパ株です。ヨーロッパ株は、国内に持ち込まれた最後は3月中旬と見られていますので、武漢株同様であれば、侵入後2ヶ月半の6月頃には国内から消えるかもしれません。ただ、武漢株とヨーロッパ株の国内での拡散状況は異なりますので、これはあくまでも希望的な推察です。

現在、抗体検査は一部で行われているに過ぎませんが、抗体陽性率は3%との報告(神戸市)があります。予想以上に多くのヒトが感染していると発表されていますが、一般に伝染病が終息を迎える抗体陽性率は70-80%とされていますので、これにはほど遠い状態です。今後、新型コロナウイルスの集団感染が再燃する可能性は十分にあります。すなわち、新型コロナウイルスを終息させることは容易ではなく、われわれは、長期にわたってこのウイルスと共存する戦略を採らざるをえません。

 

新潟食料農業大学は、学生個々を大切にし、勉学やスポーツに打ち込めるよう全力で支援して行きます。身体や心を守りながら、ウイルスとの共存状態を作り出すことは、個人の力ではできません。社会全体で取り組んで初めて作り出すことができます。社会的に感染症抑制を行うには、安全で安心な食が安定的に供給されることが重要です。食のスペシャリストを目指す皆さんへの期待や社会的なニーズは、今、より高まっています。

 

建学の精神に謳われる、自己規律に裏打ちされた「自由」、他者の考え方や行動を尊重する「多様性」、常に好奇心をもって取り組む「創造力」をもって、ウイルスと共存する新しい世界を支える「食」のあり方を皆さんとともに考えて行きたいと思います。

 

新潟食料農業大学 食料産業学部長 中井 裕 

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