「食」の総合大学を目指して
2018年4月、「新潟食料農業大学」が開学しました。
この大学では、「食」と「農」と「ビジネス」を一体的に学ぶことができます。いま、日本の食のマ-ケットは、約76兆円ときわめて大きな経済セクターになっています。また、これからは、輸出を通じた国際競争の分野にも進出して、食の市場規模は100兆円にも成長することが見込まれます。
一方、「文化としての食」も位置づけが見直され、和食文化がユネスコの世界文化遺産に登録されたことに見られるように、次の世代に継承されるべき人類共有の財産であることが明確になりました。多様で豊富な食材、美しい景観、四季の移ろい、伝統行事との関わりなど、日本の食は地域と一体になって発展するものだといえましょう。
ところで、食と農は、食卓から農場まで、一本のチェ-ンで切れ目なくつながっており、そこには、生産、加工、輸送、販売、調理、サ-ビスと多くの人々がたずさわっています。そして、生産と消費、都市と農村は、別々のものではなく対立するものでもありません。消費者が求めるものを農場が生産する、農村の現状を知って、都市が支えるといった相互の理解と融合が大切です。
新潟食料農業大学は、このフ-ドチェ-ン全体をカバーする産業である食料産業を学び研究する「食料産業学部」を核として、世界のフードチェーンを牽引するフロントランナ-としての高等教育機関になることを目指していきます。
本学では、既成観念に縛られず柔軟で自由な発想を重んじ、他者の考え方や行動を重視し、そして、あらゆることに好奇心を持ち、よく観察・記憶することで多様性の時代にふさわしいイノベ-ション能力を育てます。「自由」「多様」「創造」が、建学の精神です。
「そもそも天下に道はなく、人が歩いて道ができる」といいます。どうか、みなさん、新たに誕生した「新潟食料農業大学」で、ともに学び、ともに新時代をつくりましょう。
新潟食料農業大学
学長 渡辺 好明
●略歴
1968年4月 | 農林省入省 |
1981年7月 | 兵庫県農林水産部振興室長 |
1986年7月 | 通商産業省貿易局農水産課長 |
1993年7月 | 農林水産省大臣官房企画室長 |
1995年7月 | 林野庁林政部長 |
1995年7月 | 環境庁水質保全局長 |
1998年7月 | 農林水産省構造改善局長 |
2001年1月 | 水産庁長官 |
2002年1月 | 農林水産事務次官 |
2004年4月 | 内閣総理大臣補佐官 (郵政民営化担当) |
2007年5月 | 東京穀物商品取引所 理事長、社長 |
2009年6月 | 公益社団法人 全国農地保有合理化協会会長 |