学長メッセージ

「食」の総合大学を目指して

新潟食料農業大学は、開学以来6年目に入りましたが、教育、研究、地域活動などの面ですばらしい成果を挙げています。これまで2回の卒業生を送り出しましたが、就職の状況も順調で、「食の産業人」として活躍しています。

この大学では、「食」と「農」と「ビジネス」を一体的に学び、高度な専門性を持った「食」のジェネラリストを育てています。わが国の食のマーケットは、約120兆円と、どんな産業セクターにも負けません。また、経済のグローバル化に伴って、日本の食は海外へ進出し始めています。少子高齢化の国内と人口経済が伸びる海外、成長のカギは、食料だけでなく、食文化の海外進出にもあると考えます。和食文化がユネスコの世界文化遺産に登録されたことで、食は次の世代に継承される人類共有の財産であると明確になりました。多様で豊富な食材、美しい景観、四季の移ろい、伝統行事との関わりなど、日本の食は、地域から日本全体、日本から世界へと発展していく、普遍性を持ちつつあります。食料品輸出の増加、海外の日本食レストラン急増は、その象徴とも言えるでしょう。

さて、食と農は、食卓から農場まで一本のチェ-ンで切れ目なくつながっており、かつ、循環することが求められています。また、そこには、生産・加工・輸送・販売・調理・サ-ビスと多くの人々が携わっています。都市と農村、消費と生産は、別々ではなく、対立するものでもありません。消費者が求めるものを農場が生産し、農村の現状を知って都市が支えるといった相互の理解と融合が大切です。

そして、社会の持続的発展を図るためには、一方通行でなく、「循環経済」へと、発想と行動の転換が求められています。新潟食料農業大学は、フ-ドチェ-ン全体をカバーする産業である食料産業を学び研究する「食料産業学部」を核として、世界のフードチェーンを牽引するフロントランナ-の高等教育機関になることを目指し、前進していきます。前例に縛られずに柔軟で自由な発想を重んじ、他者の考え方や行動を尊重する、あらゆることに好奇心を持ち、よく観察し記憶することから多様性の時代にふさわしいイノベ-ション能力を育てていきます。

この「自由」「多様」「創造」が、建学の精神です。

皆さん!新潟食料農業大学で共に学び、共に新しい時代を創りましょう!

新潟食料農業大学
学長 渡辺 好明

略歴

1968年4月 農林省入省
1981年7月 兵庫県農林水産部振興室長
1986年7月 通商産業省貿易局農水産課長
1993年7月 農林水産省大臣官房企画室長
1995年7月 林野庁林政部長
1995年7月 環境庁水質保全局長
1998年7月 農林水産省構造改善局長
2001年1月 水産庁長官
2002年1月 農林水産事務次官
2004年4月 内閣総理大臣補佐官(郵政民営化担当)
2007年5月 東京穀物商品取引所 理事長、社長
2009年6月 公益社団法人全国農地保有合理化協会会長

学長コラム

NAFUと食の可能性について、学長によるコラムを掲載しています。

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