【番外編⑥】食、農、地域のあれこれ

学長コラム 2019.10.4

ヒンズーとイスラムなど日本の食が海外に進出するには
いずれは、ハラルの認証など相手国の宗教事情も知らなければならない時代になった。
今回は、ヒンズーと乳牛、役牛、肉牛との関係について解説したい。

 

9 「聖なる牛」とは?

ある業界紙(米麦日報)が報じた「インドの畜産事情」なる講演からである。
そのまた一部を要約すると以下の通りである。

インド畜産の主力は“水牛”で、メスは乳用とされた後に肉用に処分される。
オスは乳が出ないし、持久力もないので役牛にはならず、
誕生後2週~1年で肉用に処分される。

“乳牛”(在来種、ジャージー、ホルスタイン)の場合、
オスは①在来種では運搬、農耕用を経て肉処分、②ジャージー、ホルスタインは肉用に直行となる。

水牛はそもそも牛の範疇に入らないので、これらを考えると
インドでは「神様=聖なる牛」とは、すなわち『乳用種のメス』だけということになり、
乳が出なくなった<老後>も、道の草をはみながら悠悠自適なのである。

 

インドの人口のうち81%、9.7億人はヒンズー教だから牛は食べにくく、
抵抗感がないのはトリ肉だろうとも語っていたが、
イスラム教徒も13%、1.6億人なので牛肉への絶対需要量は相当なものと推測する。
タマゴも同様で、人口大国インドには
やりようによっては、膨大な需要が待っているといえるだろう。

(風に吹かれて 2013年1月号)

関連記事

NAFUマガジン一覧へ