【第52回】スプリング・エフェメラル

学長コラム 2019.3.15

「スプリング・エフェメラル」(Spring ephemeral)は、3月から4月初めのこと、
春にはなったけれど、広葉樹の葉の茂りはまだ本格的ではないころ
落ち葉のなかから、あるいは湿地や北の斜面などにごく短い期間だけ咲く花のことです。

 

花は咲くと受粉してすぐに枯れ、その後はじっと、なん年も地中で過ごし
つぎの開花の機会を待ちます。
同じ場所に同じ花が咲いても、それは何年も前の種子からの開花なのです。
たとえば、カタクリの場合、種子から発芽して花がつくまで78
開花期間はわずか10日ほど、この短い間に受粉をして子孫を残すのです。

さて、スプリング・エフェメラルを、「ウイキペデイア」や「山歩き12ヶ月」(工藤隆雄)では
「春のかげろう」とか「春の妖精」と訳しているのですが
正しくは<春の・はかない・いのち>といった方が相応しいと思っています。

代表的なスプリング・エフェメラルの花には、カタクリ、アズマイチゲ、
イチリンソウ、キクザキイチゲ(菊咲一華)などが挙げられてます。
ここには、キクザキイチゲの可憐な姿を掲載しておきました。

大学のある胎内市でも、すぐ近くの地本には17000本ものミズバショウの群落があるくらいですから
地理的・気候的条件からして、きっと胎内高原の辺りに、
スプリング・エフェメラルを楽しめる場所があるに違いないと思っていますので
ニュ-スがあれば、ぜひお知らせください。

さて、昆虫では、地中に7年を過ごし、12週間で消えるセミも同様の生涯ですが
こちらの方は、季節のせいか、鳴き声がうるさいせいか、
どうやらイメ-ジに合わないので、“Summer ephemeral”とはいわないようです。

関連記事

NAFUマガジン一覧へ