食農大の日常
【授業紹介(番外編)】 基礎ゼミⅡ オンライン授業制作「十日町市の地域資源発見ツアー」に行ってきました!
基礎ゼミⅡは各ゼミに分かれ、地域の活性化をテーマにグループワークで進められる授業ですが
新型コロナウイルス感染症対策のため、他の授業同様にオンライン環境でのリモート形式で行われました。
7月30日に成果発表会があり、学長賞に妙高市を対象とした武本ゼミ
学部長賞に十日町市を対象とした青山ゼミが選ばれました。
青山ゼミのテーマは「食農大生おすすめ十日町市の地域資源発見ツアー」9名の2年生が、現場に赴くことなしに
インターネットで資料情報収集をし、十日町市の歴史や魅力を解析、オンライン上でメンバー間のディスカッションを行い
ツアーの案を作成しました。
学部長賞の講評で、このツアーに魅了されたと仰っていた中井裕学部長が
実際に現地を巡られたとのことですのでそのレポートをお届けします。
【食農大生おすすめ十日町市の地域資源発見ツアー】
「当間高原リゾート・ホテルベルナティオ」
青山ゼミでは、2コースのツアーを提案しましたが、いずれもが十日町市の多様な地域資源をアピールする魅力的なものでした。
ネットの情報から魅力的なスポットを選び、滞在時間と移動時間を見積もって無理なく実行できる案を作ったとのこと。
私は以前から清津峡に興味があり、発表を聴いて、是非このプランのツアーコースをたどってみたいと思いました。
お盆明けの夏休み、自家用車を走らせました。新潟から関越道を使って100分程度。10時過ぎに当間高原リゾートに到着。
ツアープランでは10時にここでそば打ちの予定でしたが、コロナ対策のため、そば打ちは諦め、10時半にホテルベルナティオで
早めのランチを取ることにしました。
アルコールで手指を消毒し、額の体温測定を受けて席に着きます。
午前のラウンドを終えたゴルフ客がぽつぽつと戻ってきて、ほぼ満席に。
綺麗に刈り揃えられたグリーンを眺めながら新鮮な野菜のソテーが添えられたフォカッチャのサンドイッチを味わいました。
「フォカッチャのサンドイッチ。冷製コーンスープ付き」
昼食後、ツアースケジュールどおり11:40ホテル出発。
中里中学校の校庭にある『大地の芸術祭』の作品「日本に向けて北を定めよ(74°33’2”)」に11:55着。
「日本に向けて北を定めよ(74°33’2”)」 リチャード・ウィルソン(英国)(大地の芸術祭)
地面に斜めに刺さった四角い枠組が力強く空に伸びています。
田んぼの中にある中学校の校庭ののんびりした空気に溶け込む気配はなく、制作されたロンドンから
瞬間移動してきたような異質性が漂います。
この作品がロンドンではなく、この場所に存在しなければならない意味は分かりませんでしたが
強いエネルギーをもって、この場所から訴える何かを感じました。
「中里かかしの庭」 クリス・マシューズ(英国)(大地の芸術祭)
清津川沿いの道を遡り、大地の芸術祭の作品「中里かかしの庭」に12:10着。
あまり手が入れられていない畑の中に、無造作に切りとられた造形の鉄板にペンキがべたっと塗られたかかしがたたずんでいます。
白い○印が着物の柄や、大きな目のように描かれています。ポップなかかしが、やや荒れた畑、雑草や雑木
すぐ後にそびえる急な山の中に溶け込んでいます。
肩肘を張らずに農地とアートが合体しています。5体ほどしか見つかりませんでしたが、18体もあるとのこと。
自然の中を歩き回って全部探し出すのも面白そうです。
「清津峡」
12:30清津峡着。少し待って駐車。混雑時には1時間以上待つこともあるとのこと。
土産物屋と旅館が並ぶ道を抜けると、すぐに切り立った峡谷が見えてきます。
V字の谷と青い空、澄み切った川の水。まさに夏休みに相応しい風景です。
「ペリスコープ(潜望鏡)」
数分間歩くと、トンネルの入り口が見えてきます。
入り口の手前には、エントランス施設の「ペリスコープ(潜望鏡)」が建っています。
この建物とトンネル施設がセットでアート作品となっています「Tunnel of Light」 (マ・ヤンソン作:中国)
「トンネル内(トイレから見た柱状節理の対岸)」
ガラスのドームで覆われたトイレはミラー加工が施され、勿論外から中は見えません。
入場料を払って、トンネルに入ります。
トンネルは潜水艦に見立てられ、全長750mの途中3ヶ所には潜水艦の窓のように見晴所が作られています。
対岸の柱状節理の岩肌が迫力満点にせまります。柱状節理は500万年前のマグマ流出によって形成され、
その後に、清津川によって削られて峡谷の斜面に現れたものです。壮大な時間が費やされた造形が目の前に広がります。
「清津峡 パノラマステーション」
終点のパノラマステーションでは、わき水が流れ込むテラスの向こうに半円形に切り取られた峡谷の景色が広がります。
裸足でテラスに上るとわき水の冷たい流れが心地よく感じられます。テラスの端まで行き写真。
パノラマステーションは家族連れなどで混んでいましたが、偶然この時は私が独占できました。
「ペリスコープ(足湯の天井にある潜望鏡)」
峡谷を堪能した後は、入り口そばに建つペリスコープ(潜望鏡)に立ち入りました。
2階に上り、足湯に浸かりながら上を見ると、屋根の尖端に数枚の鏡が貼られていて、山の緑が映っていました。
これが潜望鏡と名付けられた所以です。アートを感じます。ここもお勧めです。
「十日町市博物館 レプリカの火焔型土器」
14時過ぎに十日町市博物館に到着。6月にリニューアルオープンしたばかりの施設です。
火焔型土器のコレクションに圧倒されました。とくに国宝展示室の9点は圧巻です。
2時間近くも飽きることなくじっくり見て歩きました。5000年も前にこのような複雑で力強い装飾が施された土器を
どのような人がどのような気持ちで作ったのか、遠く思いを馳せました。
「道の駅クロステン 店内」
博物館からほど近い道の駅クロステンに16時に到着。
つるしびなが見事です。豊富な地場産品からお土産が選べます。
プランでは、この後に、「越後妻有のごちそう家」、そして「キナーレ明石の湯」ということになっていましたが
キナーレ明石の湯の入り口の写真を撮って、私はここでギブアップしました。
一日のうちにあまりにも多くのことやものを、見て、感じ、考えて、体力・知力の限界でした。
「キナーレ明石の湯」
首都圏との直結が必須の豪華ゴルフリゾート、コロナ禍の中でのレストラン営業。
田園風景に対峙し、あるいは溶け込んで存在する近代アート、500万年の時間をかけて作られた峡谷。
その環境を守りながらも容易に自然の美を堪能できるように設計されたトンネル施設、5000年前にこの場所で作られた火焔型土器。
そして、現在の十日町の人々の暮らしと産業。
普段考えないような空間的広がり、壮大な時間の流れに圧倒されながら、それらをどのように活かすかが課題の観光や
地場産業について深く考えさせられた小旅行でした。
青山ゼミの皆さんは、十日町市の地域資源発見の入門編としてこのツアーを考案しましたが、私はその企みにまんまとはまってしまいました。
十日町市に存在する多種多様で魅力に富んだ地域資源をより深く知るために、再訪したいと考えています。
皆さんも是非、足を運んでみてください。