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【授業紹介】JAえちご上越の挑戦<起業イノベーション論>

食・農・ビジネス分野の最前線で活躍されている方をお招きして講演を聴くことができる授業「起業イノベーション論」。

7月6日(火)の講義は、えちご上越農業協同組合 常務理事 岩崎 健二様より「豪雪地での直売所設置への挑戦」と題してご講義いただきました。

 

  • 農家の問題に接して生まれた強い想い

もともと営農指導員としてJAえちご上越の職員でいらした岩崎様。長年にわたり作物被害の防除や収量アップの方法を農家の方々に指導してきた中で、ある強い気持ちが芽生えたとのこと。

「農家さんの所得を増やしたい!」

新潟県上越地方は豪雪地であるがゆえ、主要産品の米以外の生産が難しい地域でした。時代とともに稲作だけの収入では農家の生活が苦しくなり、さらには高齢化や後継者不足にも悩まされるようになったとのこと。その問題を解決すべくJAえちご上越では、野菜や果樹など新たな農作物を生産し、「直売所」で販売するプロジェクトを立ち上げました。その陣頭指揮を執ったのが岩崎様です。

 

  • 農家をやる気にさせる生産対策

上越の冬は記録的豪雪地帯で、ハウス栽培施設はその重みで押しつぶされてしまうほど。そんな気候のため、冬に作物を育てる難しさを知っている地元農家からは、最初はなかなか理解を得られなかったそうです。ですが様々な取組みを行い「作れば売れる、儲かる」体験を重ねた結果、地元農家は園芸作物や健康野菜など消費者ニーズを考え生産、販売するようになりました。

 

<取組の一例>

◆イベントを多彩に行い野菜を集め、売り切る

◆販売データを活用した栽培カレンダーの作成・活用

◆小売りスーパーにはない魅力「健康野菜コーナー」設置

◆雪中で生育、貯蔵された糖度の高い野菜ブランド「雪下畑の仲間たち」

 

  • 未来の担い手育成に取り組む

ほかの農協では例のない取組により、令和2年の直売所取扱額は7億円を超えるほどに成長。全国各地の農協から視察に訪れるようになり、マスコミにも数多く取り上げられました。農家の収入も増え、若い人が農業に挑戦する機会も徐々に増えてきているようです。今後も引き続き若手育成を進めながら、地域の学校や幼稚園に食育などで活動を広げ、農業推進を行っていくとのことです。

 

  • 未来の農業を担う学生へメッセージ

最後に岩崎様は学生にメッセージをくださいました。

「産業振興と地域の活性化には【夢やビジョンを描ける人材】と、戦略を描いて農家に語る【熱意】農家を巻き込む【行動力】が重要、どんどんチャレンジしてください!」

講義後には質問責めする学生の姿も。岩崎様の情熱を感じ、農業を学ぶ学生の意欲も増したように感じました。

 

現場の最前線をリードする方の、普通では聞くことのできない体験談や想いに触れることのできる「起業イノベーション論」。

次回もぜひご期待ください!

 


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