食農大の日常
【授業紹介】2年生フードコース 塩辛製造を行いました<食品生産科学基礎実験・実習>
今回は2年生フードコース必修科目「食品生産科学基礎実験・実習」での塩辛製造の様子をご紹介します。
2年生からはコースごとに分かれ、専門分野の実験・実習の授業が多くなります。座学で学んだことを実際に自分自身で経験しながら学びを深めていきます。
実習では船凍(せんとう⇒船上凍結)された「スルメイカ」を使用しました。魚介類を漁獲した直後に船内で急速冷凍し、漁獲から販売まで冷凍状態で流通するため、鮮度の良さと品質の高さが特徴です。今回使用したイカは-80℃という超低温で保存されたものだそうです。
■イカをさばく
実習は、イカの重量を量り、さばくことからスタート。おそらく多くの学生がイカを調理することは初めての経験であったと思います。氷の上で鮮度を保ちながら、本実習の講師 丸山純一教授の説明のとおりに作業を進めます。
↑外套膜(胴)からワタを取り除く様子。
↑不要な墨袋は丁寧に取り外します。
これはいわゆる“イカ墨”の詰まった器官。衣服に墨が付着するとなかなか落ちないので注意が必要です。
↑エンペラを胴から取り外す工程を説明する丸山先生。
エンペラとは一般的に「耳」と呼ばれている三角の部位のこと。少し固めのコリっとした食感で、イカが泳ぐときのかじ取りに使います。
■イカを細かく切り、塩と酵素を加える
無事にイカをさばいた後は、可食部を計量し食べやすいサイズに切ります。
そして、塩辛を作成するために必要な「食塩」と「タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を含む食品」を加えます。
食塩は、浸透・脱水作用により食品の水分活性を低下させるため、腐敗菌などの細菌の増殖を妨げ、防腐剤の役割を果たします。今回の実習では常温熟成させる場合、塩分濃度を12.5%以上に設定。冷蔵の場合は5%以上になるよう分量を各自調整して塩辛を作成しました。
また、タンパク質分解酵素は塩辛のタンパク質を自己消化(熟成)させアミノ酸を増やし、豊かな旨味を出すためにとても重要です。イカの肝臓には酵素が含まれているため、塩辛作りにはよく使われます。今回はイカの肝臓のほかに、酵素を含むヨーグルトやチーズ、そのほか学生たちが持参した食品をそれぞれ選んで「マイ塩辛」の作成に挑戦しました!
↑イカを切る様子。
↑酵素を含む食品(ここでは皮付きリンゴ)を刻んでいます。
酵素がイカに浸透しやすくするほど熟成が行われやすいため、互いが接する表面積を増やすよう細かくしています。
また、食品のどの部分に酵素が多く含まれるかを考えながら使用箇所を選定していました。
↑イカの肝臓と食塩を計量しながら加えています。
↑熟成しやすくなるよう、よく混ぜ合わせます。
作成した塩辛は瓶詰めし保存され、後日官能評価を行います。
実習を通じて学生たちは、食塩による腐敗防止(微生物制御)や酵素による熟成について学び取っていました。また、熟成促進のために食材を細かく丁寧に刻む姿も見受けられ、科学を学びながら美味しさも追求する姿勢がとても印象的でした。
今後の学びにぜひ活かしてほしいですね!
食品生産科学基礎実験・実習の授業では、今後も様々な食品の製造とその生物化学的なメカニズムについて学んでいきます!ぜひお楽しみに!