病名:ブドウべと病
宿主名:ブドウ【学名:Vitis vinifera L.】
病原菌名: Plasmopara viticola
発生場所:圃場入り口 ブドウ棚
発生時期: 7月初旬~7月中旬
病徴:葉の表に黄色の病斑を示し、裏には綿状の白い塊を形成する。果実にも発生し、
学内では果粒が褐変するようすが見られた。
形態:遊走子のう柄の先に遊走子のうを形成する。どちらも無色。遊走子のうの大きさは長径22―29 µm、短径14―19 µm。
まめちしき:本病害はブドウの重要病害で、学内のブドウにも大きな被害を与えていました。べと病菌は培地上で培養できないため、観察できる機会が限られます。学内では貴重な卵菌門に属する病原菌なので、ぜひ7月頃のブドウに注目してみてください。
植物体の表面に胞子形成する菌を観察する際には、セロハンテープを罹病部に軽く触れさせて胞子などを付着させ、水などのマウント液の上からスライドガラスに貼り付けてプレパラートを作成することをおすすめします。筆者はべと病の遊走子のう柄の先に形成された丸い遊走子のうのバランスが可愛らしいと感じていますが、セロハンテープを用いるとそのような自然な構造を壊さずに観察できます。
病名:ブドウ黒とう病
宿主名:ブドウ【学名:Vitis vinifera L.】
病原菌名: Elsinoë ampelina
発生場所: ブドウ棚、温室前のブドウの鉢
発生時期: 7月初旬
病徴: 葉にふちが暗褐色、内部が白色の小さな斑点を形成し、のちに穴が開く。果実にも褐色の丸い病斑を形成する。
形態:分生子は無色で楕円形。大きさは長径6―7.5 µm、短径3―4 µm。
まめちしき: 果実の病徴がかなり特徴的で、果実はいかにも病気にかかっていそうな見た目になります(図2)。学内では7月に発生しましたが、一般的には4月頃から防除対象になります。
本病害の感染しやすさには品種によって差があり、欧州系の品種は感染しやすいとされています。学内で栽培されていたシャインマスカットも欧州系の品種の1つで、感染しやすいようです(引用1)。
本病害は英語ではAnthracnose(炭疽病)と呼ばれることがありますが(引用2・3)、日本における炭疽病菌はColletotrichum属菌なので混同しないよう気を付けてください。英語では病名というよりは病徴の見た目を病名のように記載することがよくあります。
培地上であまり胞子形成しないことが報告されており(引用3)、実際に筆者もうまく培養できませんでした。そのため形態の写真を特徴に乏しい分生子1つ(図4)しか用意できませんでしたが、もちろんこれ以外の構造も存在します。次回は罹病部を湿室に保ち(シャーレの中に濡らした紙などと罹病部を入れて湿度を高める)、病斑上での胞子形成を促してみようと思います。
引用文献
1)須﨑浩一(2021)ブドウに発生する病害の生態と防除.植物防疫 75(8):451-456.
2)Zhi Li, Ricardo Feliciano dos Santos, Linlin Gao, Pingping Chang, Xiping Wang(2021)Current status and future prospects of grapevine anthracnose caused by Elsinoe ampelina: An important disease in humid grape-growing regions. Molecular Plant Pathology 22(8):899-910
3)Atsushi Kono, Ryoji Nakaune, Masahiko Yamada, Masaaki Nakano, Nobuhito Mitani, and Toshihito Ueno(2009)Effect of Culture Conditions on Conidia Formation by Elsinoë ampelina, the Causal Organism of Grapevine Anthracnose. Plant Disease 93(5):481-484.