今、世界中で「環境になるべく負担をかけない社会づくり」が目指されています。農業分野では化学農薬の使用量を減らすというのが環境負荷を減らすための重要な方法の1つとして挙げられています。しかし、化学農薬を減らせば当然それによって抑えられていた作物の病気の発生量は増加してしまいます。作物に限らず、植物の病気のおよそ75%は菌類(=カビ)の仲間によって引き起こされるのですが、どんな菌がどこにいるのかは気温や降水量など様々な環境要因によって制約を受けることが多いのです。つまり似たような環境では似たような病気が発生する可能性が高いということですね。本学は新潟県の北部に位置することから、本学圃場で発生する病気は大学周辺の新潟県北部でも発生する可能性が高いと言えます。

適切な病害防除は正しい病気の診断から始まります。NAFU生き物図鑑の作成は、本学で発生する病気を図鑑にまとめて公開することで病気に苦しむ地域の生産者に貢献できるのではないか、という植物病理学ゼミの卒研生の意見からスタートしました。ここで紹介されている植物の病気は、全て1人の学生が学内を探索して集めてきたもので、病徴および病原菌の写真撮影や解説文の執筆も学生が主体となって行いました。荒削りなところはあるかもしれませんが、少しでも本学学生の熱い思いを感じ取っていただければ幸いです。

もちろんNAFU圃場には植物病原菌だけでなく、様々な植物・昆虫など、多様な生物が生息しています。この図鑑を見ている人たちの中には、そのような生物に強く惹かれる方もおられるでしょう。本学に在籍する専門家の先生に植物や昆虫についても解説をしていただきます。この図鑑を通してNAFUの生物多様性も楽しんでいただければ幸いです。

監修

鈴木 浩之Hiroyuki Suzuki
専門分野
植物病理学、菌学、微生物生態学