食農大の日常
【授業紹介】水産物の利用について知ろう!<畜・水産物利用学>
フードコース3年生必修科目の「畜・水産物利用学」では水産・畜産資源を食品に利用する上での原料特性、加工特性などについて、物理的、化学的および生物的視点から学びます。さらに食品としての栄養や品質、機能性などについても理解を深めています。
11月9日(火)の授業では新潟県水産海洋研究所 佐渡水産技術センター 海老名 秀様にお越しいただき、新潟県の漁業や水産海洋研究所で行っている研究についてお話いただきました。
まずは新潟県の漁業について、生産量や生産額、海底地形の違いをお話いただきました。新潟近海は「暖流系」「寒流系」と南北の魚が獲れ、種類が豊富なことが特徴です!それゆえ県の魚を決められないそうです…。
そして「漁獲後の品質管理に関する研究」「原料処理に関する研究」「加工品製造技術に関する研究」と3つの研究について詳しくお話いただきました。
■漁獲後の品質管理に関する研究
外観からは分かりにくいブリの脂ののりについて近赤外分光分析を用いた研究とズワイガニの選別方法のためのツール開発について教えていただきました。
熟練漁業者の長年の経験や勘に頼っていた部分を数字で表すことで客観的な評価が可能になったことを学ぶことができました。
■原料処理に関する研究
これまで県内で獲れるが、供給が安定しない魚や加工原料化が難しい魚の利用が進まないことが課題としてありました。そこで簡易に原料化し、安定して供給できる技術開発として凍結粉砕技術についてお話いただきました。
普段であれば捨てられる骨や皮も凍結粉砕技術によって、食用が可能となり、現在はカルシウムたっぷりの練り製品や菓子類の商品化に向け取り組んでいるそうです。
■加工品製造技術に関する研究
高齢者社会に対応した商品の開発について、乳化と酵素処理によってとろけるような食感をもち、高齢者の方も食べられる「とろけるお魚」の開発について教えていただきました。
さらに、一夜干し加工に適した原料の時期や塩分濃度、乾燥温度についてもお話いただきました。乾燥温度が高すぎると旨味成分である「イノシン酸」が減少してしまうそうです!
最後に、日本国内で魚介類の消費量が減少していることを踏まえ、「魚食が進まない理由」と「魚食を増やすためのアイデア」について考えました。自身の食生活や社会現象などと結び付けて考えられると良いですね!
水産物利用の難しさと課題に対する研究内容など、貴重なお話をうかがうことができました!
<授業を受けた学生からの感想>
「印象に残ったことは凍結粉砕技術による低利用魚の有効利用についてです。こうすることで骨や皮の処理をする必要がなく、加えてカルシウム含有量が通常の魚ミンチと比較して24倍になることから積極的に食べたいと思いました。また、料理の手間や生ごみが減らせ、未利用魚も有効利用できるため、今後さらに取り組みが進みそうだと感じました。」
「新潟県には、ルレクチェや寒ブリ、南蛮エビなど8品目のブランドがあり、海産物も豊富なため、新潟にはブランド化可能な食材がまだ眠っているのではないかと感じた。」
「私は蒲鉾が苦手で、独特の味や食感が…と思っているので、どうにか改善出来ないか。また、高齢者にも優しい蒲鉾は作れないのかと、実験・実習を通して考えていました。今回の講義で自分が考えていたことが研究されていることがわかったので、研究している方々に任せるだけでなく、自分でも新たな蒲鉾を考えてみたいと思いました。」
などの感想が聞かれ、学生が考えるきっかけになったようです。
海老名様、お忙しい中ありがとうございました!