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【研究紹介】最も美味しいとされるあわせ出汁の配合比率の特定方法

フードコース甲斐助教の研究を覗いてみました。

私たちは毎日美味しい料理を食べることで心と体の健康を維持しています。
料理の風味を形作るために“出汁”は欠かすことができません。
鰹節、煮干し、昆布、ブイヨンなど特徴の異なる様々な出汁がありますが、これら複数の出汁を組み合わせることでさらに豊かな風味をもたらすことが期待されています。それが“あわせ出汁”です。

しかしながら、“あわせ出汁”の組み合わせ方や比率は、料理人や家庭における経験や勘に基づいていることが多いため、甲斐助教は「成分分析により、最も美味しいとされるあわせ出汁の配合比率の特定方法」について研究しています。

この研究は、新潟県三条市の出汁の総合メーカー、株式会社フタバの中央研究所、今井美子先生のご研究1, 2)から着想を得ました。

これまでの研究で、鰹節、さけ、昆布出汁のアミノ酸分析を行い、呈味成分の合計値より、キレ苦味、重厚感、うま味、甘味、こくの特徴を視覚化するレーダーチャートを作成しました。

そのレーダーチャートを活用し、鰹節、さけ、昆布出汁の配合比率を推定(実際に飲んで比較するのではなく、データのみで風味を推定)することができました。

先日は学内で試飲会が開催されました。参加者はレーダーチャートと実際に飲んだ時の美味しさを確認していました。

 

現時点では、今井先生が発表された内容の再現程度に留まっていますが、
今後は成分の多変量解析をはじめとした独自の観点から、最も美味しいと感じるあわせ出汁の配合比率を特定していきます。

このことにより、“あわせ出汁”に関して簡便に風味の構築が可能となることが期待されます。

「有名店の味を家庭で再現!」「個人の好みに合わせた出汁の配合を簡単に決定!」など毎日の食卓がより豊かになることが期待できる楽しみな研究ですね!

【文献】
1) 今井ら, アミノ酸組成比から見た出汁の味質解析へのアプローチ, FFIジャーナル, Vol. 217(1), 30-37 (2012).
2) 今井ら, 新出汁素材、鮭節の合わせ出汁配合を分析値から予測する試み,
  日本味と匂学会 日本味と匂学会誌, Vol. 21(3), 365-368 (2014)


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