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中井裕副学長がシンガポール、ベトナムの大学を訪問

今回中井副学長が訪問したのは、シンガポール国立大学と
ベトナムのホーチミン市内にある私立ヴァンヒエン大学と国立ホーチミン市オープン大学。
訪問の様子を中井先生からレポートしてもらいました!!

 

主な目的は、シンガポール国立大学のジェクマール・ヘンリー博士への表敬訪問と
ベトナムの大学との意見交換です。

ヘンリー博士は、2018年度の食の新潟国際賞大賞受賞者で、
シンガポール国立大学シンガポール臨床科学研究所臨床栄養研究センターの所長を務めています。
博士は、食品や食事と糖尿病の関係の専門家で、同じ食事でもスプーンで食べるよりも箸で食べた方が
血糖値の上昇が緩やかになり、糖尿病になりにくいなどといった
日々の生活に密着した切り口の研究をしています。

ヘンリー博士はこの研究所設立準備のため2012年に英国からシンガポールに移り
2014年に研究所の開設に漕ぎ着けています。設立資金はシンガポール政府から約100億円(日本円換算)を得、
その後は民間企業からの多額の資金も加えて運営されています。
研究員は50人程度ですが2016年には年間100本の論文を発表しています。

センターの特徴は、化学分析や動物実験に頼るのではなく
ヒトを対象にした実証実験を中心にしている点です。
見学時には、ヒューマンカロリーメーター(ヒトが1日または1週間泊まって代謝量を測定する部屋。
試験終了まで一歩も外に出られない。)を用いた代謝試験や
官能試験(食味や香り)が行われていた。
実験動物を用いた試験の結果は必ずしもヒトに当てはまらない
直接にヒトを対象として実験を行うべき、との博士の意見は印象的でした。

今後、新潟食料農業大学でも食品の機能解析などにおいて、
このような直接的な解析方法を導入したいと思いました。
この後、ヘンリー博士を本大学の客員教授として迎える予定で、共同研究を進めてゆきたいと考えています。

広大な植物園ザ・ガーデン・バイ・ザ・ベイ。クラウド・フォレストの温室は高度な環境調整がなされ
海抜2000mの高山植物まで展示されています。

ホーチミン市内の雑踏

ベトナム私立ヴァンヒエン大学

 

1997年開学、学部数7、学生数15,000。

ベトナムの食品加工企業グループ、フンハイグループによって設置された大学。
フンハイグループの売上の40%は日本への輸出であり、
エビフライ、海鮮物加工品などをイオン、ロッテリア、ドミノピザ等に卸しています。

この大学は、これまでビジネス系の学部が中心でしたが、昨年農学部が設立されました。
食品加工企業が、自らの企業で活躍する人材を養成することも視野に入れて
大学を設立していることに驚かされました。
新潟食料農業大学は、形は違いますが、教育および研究において企業との連携を重視しており
企業の即戦力人材の養成という点では共通するものがあり
今後も交流を図って行きたいと考えています。

市場。トロピカルフルーツから生きた鶏、Tシャツまでなんでも揃います。

ベトナム国立ホーチミン市オープン大学 

1990年開学。10学部、学生数32,000。

グエンミンハ副学長(学長は政界に転じ、現在空席のため、副学長が最高位)
および農学バイオテクノロジー学部の教員4名(内、3名の女性教員は
神戸大、千葉大、群馬大などで博士号取得)と面談しました。
人材養成よりもアカデミック色の強い大学で、研究の世界や国際的な企業での活躍を目指して
講義は英語で行われています。
教員は新潟食料農業大学にある最先端の分析機器を使用して共同研究行うことを希望しており
学生や研究の交流を図りたいと考えています。

私にとって、シンガポールは2回目、ベトナムは3回目でしたが
両国の急速な発展と街の活気、大学の前向きな姿勢に圧倒されました。
今後もアジア諸国から目を離せないと強く感じました。

新潟食料農業大学の1年生にはベトナムからの留学生が多くいます。
皆熱心に勉学に取り組んでいます。彼らの祖国の息遣いに触れることができたことも
今回の旅行の大きな成果です。


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