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【社会連携活動】北陸農政局と新潟日報社が企画する「水利ゼミ」に本学学生が参加 長岡エリアを取材

8/19(金)北陸農政局と新潟日報社の企画「水利ゼミ」の1回目が行われました。

水利ゼミは昨年度から地元の大学生が新潟県内の農業水利*の歴史と現状を取材し考える企画で、新潟食料農業大学の学生も参加しています。

新潟食料農業大学からは食料産業学部2年生アグリコース伊藤航大さんと、食料産業学部2年生ビジネスコースの齋藤友里さんが参加しました。

ほかに新潟大学大学院生も2名参加し、総勢4名で新潟の農業水利を通じ、食と農について考えます。

今回は長岡エリアの水利施設や生産法人を訪ね、水利や農業の最前線を取材しました。

※「農業水利」とは、農業生産に必要な農業用水を貯水、取水、分水し、各圃場に引水として利用し、河川等へ排水する一連の行為のこと。

 

[今回の訪問先]

・信濃川左岸流域農業水利事業所

・ホープイン中沢

・1号幹線用水路1号トンネル工事現場(小千谷頭首工から取水した用水を流す用水路)

 

■信濃川左岸流域農業水利事業所

わたしたちは新潟日報メディアシップから新潟大学五十嵐キャンパスを経由して、最初の目的地である信濃川左岸流域農業水利事業所へ。

ここでは長岡市、小千谷市の4,501haの農地を受益とする農業用水の建設事業を所掌していて、今回の訪問先である1号幹線用水路1号トンネルも所掌しています。

ここでは長岡市、小千谷市の水利の歴史や改修、更新など維持管理の状況の説明を受けました。

もともと川の氾濫が繰り返されていた地域ですが、広大なエリアをカバーする長大な水利施設の普及のおかげで、農家の方は安定した取水ができるようになったそうです。そして排水処理場や圃場の整備に加え、農業の機械化も進みました。

現在、長岡市の米生産額は約158億円、小千谷市では28億円と、その規模の大きさを物語っています。

特に営農者にとって、農業は水利とともに発展し、欠かせないものであるということがよく分かりました。

 

■ホープイン中沢

続いて、信濃川左岸流域農業水利事業所からバスで15分ほどの距離の生産法人「ホープイン中沢」を訪問し、最近の営農状況や農業を行ううえでの水利の大切さについてお話を伺いました。

なんといっても水利施設はかけがえがなくありがたい存在とのこと。「これがなくては田んぼに水を引くことはできない」と生産者の方は語ります。また、ここまで整備された水利施設があっても、「田んぼの水管理は難しい」と農業の大変さもお話しくださいました。

 

■1号幹線用水路1号トンネル工事現場

最後に一行は、現在改修中の小千谷頭首工に接続している1号幹線用水路1号トンネルの工事現場へ訪れました。

施工区間2,688m。立坑を開けて地中をシールド工法**で掘削、トンネル内側をセグメント***で隙間なく補強し仕上げをする工程の説明を聞きながら、内部を見学しました。

地中、水中での土木技術に驚きながら、その規模の大きさと非日常の空間そのものに参加者は興味を持った様子でした。

また、この1号トンネルが完成すると、現在の1号幹線用水路と河川(茶郷川)の兼用区間が解消され、より安定的な取水が可能となり、これは「ホープイン中沢」への安定的な取水にもつながると聞いて、事業の重要性も分かった様子でした。

※※シールド工法…地上での開削を行うことなく、掘削機を地中に掘進させながらトンネルを築造する工法
※※※セグメント…シールド工法によるトンネルの壁面で使われる製品で、分割されたブロック(セグメント)のこと

 

参加学生よりコメントをもらいました!

≪アグリコース2年 伊藤航大≫

今回水利ゼミに参加したきっかけは、私の実家が農家であることと、地元とは異なる、小千谷・長岡の水利と農業について学べる機会と思ったからです。ここは信濃川からの恩恵を大いに受けながら農業を行っていると聞きました。農業水利が小千谷・長岡の農業をどう支えているのか探求し、実家の農業に利活用できるヒントを得たいです。

今回の訪問では、ホープイン中沢さんで経営者の方のお話を生で聞けたことが最も印象深かったですね。直販を行っているため、生産物の販売先の開拓や販売機会の創出を工夫している点が大変勉強になりました。また、耕地の大部分が、高齢者から依頼されて借用している田んぼである実態も興味深く、地域の問題解決の受け皿としての生産法人の在り方を考えさせられました。

 

≪ビジネスコース2年 齋藤友里≫

私が水利ゼミに参加を決めたきっかけは、農業県・新潟を水利施設を通じて深く知ることができるのではと考えたからです。実際に今回の訪問の最後には小千谷頭首工で地下9mの水路トンネルを見学しましたが、信濃川から農業用水として取水する通り道に立つことで、設備の工夫はもちろん、場所や規模感を肌で感じ取ることができ、改めて新潟は農業県であり、その営みを大河・信濃川や人が培ってきた技術で支えられていることを実感できました。

 

これからもさまざまな地域の水利を学び、新潟の食と農についてさらに深く考えていきます。

どうぞお楽しみに!

 

昨年の水利ゼミの様子はこちら

新潟日報社「水利が拓く実りの明日へ」特設サイトはこちら


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