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新潟食料農業大学×今代司酒造株式会社 産学連携事業 「清酒 胎内ししのくらの森」完成発表会を開催しました

NSGグループの新潟食料農業大学は、2022年3月29日(火)に本学胎内キャンパスにて、「新潟食料農業大学×今代司酒造株式会社 産学連携事業 “清酒 胎内ししのくらの森” 完成発表会」を実施いたしました。

当日は大学関係者、今代司酒造株式会社関係者、胎内市関係者、報道関係者等20名程度の方々にご参加いただき、取り組みの経緯や商品説明等を発表いたしました。


左から:新潟食料農業大学 発酵・醸造ユニット主任研究員 小熊 哲哉、主任研究員 栗林 喬、ユニット長 渡邉 剛志、副学長兼新潟食料健康研究機構長 中井 裕、今代司酒造 代表取締役社長 古俣 周策様 
オンライン画面:今代司酒造 古田 悟様(左上)、学生代表 米内 裕都(左下)、森 崇智(右下)

 

・本事業の取り組みの経緯

新潟食料健康研究機構 発酵・醸造ユニット長 渡邉剛志教授より、次のように説明がありました。

「本事業の目的は胎内市の名所や特産物から清酒醸造に適した酵母を分離し、胎内市産の米・水・酵母を使用した新潟食料農業大学(NAFU)ブランド・胎内オリジナル清酒を開発し、新潟食料農業大学が立地する胎内地域の活性化と知名度向上に貢献することにある。米・水・酵母と、原料のほぼ全てが胎内市に由来するNAFUブランド・胎内オリジナルの清酒は、豊かな自然と伝統文化に恵まれた胎内地域を対外的に強くアピールすることに寄与するとともに、胎内地域に育まれ、地域とともに成長する新潟食料農業大学のシンボルとなり得るものと考えられる。」

 

・商品説明について

新潟食料健康研究機構 発酵・醸造ユニット長 渡邉剛志教授、主任研究員 栗林喬講師、学生代表

米内裕都、森崇智、今代司酒造 古田悟様より、以下の内容で商品についての説明がありました。


新潟食料健康研究機構 発酵・醸造ユニット長 渡邉剛志教授

 

<胎内地域からの酵母の候補株の分離>

「胎内市は、飯豊連峰を源とする胎内川を中心にして、山、森、里、海、が一体となっており、この豊かな自然に恵まれた胎内市を象徴するような場所や、特産品から酵母を分離したいと考えた。胎内市役所・総合政策課の斎藤係長らに御助言いただき、その結果、「はまなすの丘」、「ししのくらの森」、などを分離源の候補とし、順次、酵母分離のための試料採取を進め、それぞれの場所から候補株各一株(「ししのくらの森酵母」および「はまなすの丘酵母」)が得られ、遺伝子解析の結果、清酒製造に利用できる可能性の高いSaccharomyces cerevisiaeと同定された。」

 

<清酒製造に適した酵母への育種について>

「自然界から分離した酵母(Saccharomyces cerevisiae)のほとんどは、そのままでは清酒製造に適した十分な発酵醸造適性を持っていないため、まず「ししのくらの森酵母」をより高品質の清酒の製造に適した酵母となるよう、育種改良した。この育種改良の研究は、栗林講師の指導のもとで新潟食料農業大学のフードコース、発酵醸造ユニットに所属する学生の卒業論文研究の一環として行われた。育種した「ししのくらの森酵母」の醸造特性は、対照である清酒酵母と比較しても、発酵経過やアルコール生成能において同等であり、既存酵母と同様に高品質な製成酒が得られる可能性が高いことがわかった。」


学生代表 森崇智

 

・今後の展開について

2021年度は「ししのくらの森酵母」の育種改良を優先し、試験醸造も「ししのくらの森酵母」の育種株を用いて行いました。「はまなすの丘酵母」については次年度以降、必要に応じて進めていく方針です。今代司酒造株式会社 代表取締役社長 古俣周策様より今後の展開について以下のコメントをいただきました。

「醸造のシーズンである秋以降になるが、今後も継続して協力していきたい。」


今代司酒造 代表取締役社長 古俣 周策様

 

・「胎内ししのくらの森」の特徴について

新潟食料健康研究機構 発酵・醸造ユニット 栗林喬講師より、完成した「胎内ししのくらの森」の特徴について以下の説明がありました。

「“ししのくらの森酵母”による純米酒は、森を連想させるような爽快感のある上立香に続き、フルーティーな果実様の香気が口中に広がり、心地よい酸味とキレのある後味によって、躍動感のある香味のハーモニーが楽しめるお酒となった。」


「清酒 胎内ししのくらの森」