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【授業紹介】「労働金庫と人が働くとは」<食産業ビジネス演習Ⅱ>

『食産業ビジネス演習Ⅱ』は、ビジネスコース3年生の必修科目であり、食産業ビジネスを展開する上で不可欠な資金調達の多様な手法や実践的なノウハウについて演習を通じて学んでいます。

 

今回は、ゲストスピーカーとして新潟県労働金庫元理事長で、現在はワーカーズコープ・センター事業団顧問とにいがた協同ネット事務局長を務められています江花 和郎様にお越しいただき、講演いただきました。

 

江花 様は、新潟県労働金庫理事長の経験から、労働金庫の概説および「人が働く」とは何なのかを学生にわかりやすい言葉で説明してくださいました。

 

はじめに労働金庫の概説として、日本の労働組合成立の歴史やその特徴などをお話いただきました。

日本では企業別労働組合が多いことが特徴ではあるが、全体の組織率が低く、企業規模が小さいほど組織率はさらに低下していくことから、立場の弱い労働者に対して労働組合がない(本来は立場の弱い人ほど労働組合を作るべきで、組織するべき)ことを挙げ、説明いただきました。

また、労働金庫は非営利組織に該当し、その数は現在、全国に13あり、預金残高は地銀よりも大きい23兆円あるそうです。終戦直後の銀行は労働者にお金を貸してくれなかったことから、労働組合が作った金融機関として、新潟では1952年に新潟県労働金庫が設立されました。そして、日本の労働金庫は国際的に高い評価(2011年ILO報告)を得ており、その報告書の中で「長年にわたり労働者の生活支援をしており、融資総額の99%が労働組合員の生活支援に回されている」と報告されています。

今後の労働金庫は、協同組合の一員として、「共益」から「公益」となることが求められつつあると締めくくられました。

 

授業の後半には、学生からの出てきた質問に直接答えていただける質疑応答の時間もありました。

学生から、「産業別での労働組合は、どのような産業区分となっているのか?」など、労働組合に関することはもちろん、「労働金庫のトップとして苦労したこと」や「学生時代にやるべきこと」など、まさに就活生に役立つようなお話、そして「非営利組織や社会貢献するための仕事選び」の質問の際には、『仕事とは、単独ではすることができず、他との関係性が最も大切なことである』というお言葉をいただきました。

 

ビジネスの最前線を学びながら、「人が働く」ということについて理解を深めることができ、とても良い機会となりました。江花様、お忙しい中ありがとうございました。


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