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【第8回①】食べもので体をつくり、食べ方で心をつくる <その1 食事と食器>

日本人の食の特徴 

世界の人々の食事の仕方は、「手(右手)で食べる」、「スプ-ンで食べる」、
「ナイフとフォ-クで食べる」、「箸で食べる」の4つに分類されます。
さらに、箸食は、食器を「置いたまま」と食器を「手に持つ」の2通りに分かれ、
日本人・和食は、食器を手に持つタイプになります。ごはん茶碗や汁椀を持つことで、
食べ物を「感謝していただく(頂く)」形が自然にできて、
「口中調味」が可能な「三角食い」や「稲妻食い」も容易になります。
また、そうなれば、食器も<持ちやすく、食べやすい>形に進化します。
「子ども茶碗」「女茶碗」といういい方がありますが、これは使い勝手から生まれましたし、
「マイ(my)箸」にも、環境への配慮と使いやすさの両面があると思います。

割り箸と森林資源循環 
日本でごく日常的に使われている割り箸には、便利・衛生的のほか、
「神様に新しい箸で食べものを捧げる」という意味もあります。
また、「森林保護のために使わない」との主張もありますが、
国産材の場合には、逆かもしれません。製材の過程で「木っ端」が出ますが、
捨てずに割り箸に加工し有効利用すれば、その利益を森林資源の循環・維持に向けられる利点があるからです。
かつて、岩手県の林業地域で、学校給食の食器を保護者たちが手作りしていたことがありますが、
これなどもすばらしい食育です。

桶(おけ)と樽(たる) 
木材利用のついでに、食品を入れる・貯蔵する容器で似たもの同士、
「桶」と「樽」の違いを知りましょう。両者の姿形と機能ですが、
桶の場合には、なかの食品の水分が容器に吸収されてベトつかないよう、
柾目(まさめ)になっています。ごはんのおひつや寿司桶(半切り)がその例です。
一方、樽の場合には、なかの水分を完全に遮断し、漏れないように、板目(いため)に取ります。
醤油樽、酒樽などが、これに当たります。
このように、食品の容器とその中の食べもののおいしさ、保存性とは密接な関係にあるのです。
「柾目」と「板目」をインタ-ネットで調べてみましょう。

NAFUでは食文化や農村の暮らしについても学びます。
古くから根づいた日本の食文化を学ぶ中で、
いま必要とされる新しいニーズに応えるヒントが隠されているかもしれません。

 

  • 次回は、「その2 食育について考える」 です。           (渡辺こうめい)

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