授業紹介
【授業紹介】自分の気持ちを川柳で伝えよう!<食嗜好科学>完結編
今回は第3回目(第8回から第10回目の授業で提出していただいた川柳)の投票で上位5位に選ばれた学生の川柳と込められた想いを紹介します!
第3回目の投票で選ばれた川柳はこちらです!
見事上位に選ばれた学生に、川柳に込めた想いをインタビューしました!
- 池田 葵さん
「願い事 欲深すぎて 書ききれぬ」
七夕に向けて短冊に願いを書くときは『~が欲しい!』、『~のライブ行きたい!』、『遠出したい!』など基本一つの願いを決めて書くと思うのですが、私は「もし叶うならあれかな、いやこれかな、どれも捨てがたい…」なんてイベント事に真剣に考えてしまったのですが、その時に「自分って欲深いな」と思い川柳にしました。でも、今思うと出張中の兄が心配なので『大切な人の健康』が一番の願いかなと思います。
- 菅野 透稔さん
「雨音に 耳を澄ませて 夢の中」
梅雨に入り雨模様の日が続く中で雨音だけが響いており、その雨音が気になり眠れないでいたはずが、いつの間にか眠ってしまっていた時の情景を表しました。この情景から気になっていたはずの雨音が次第に心地よいリズムに変わり、いつの間にか子守唄に変わってしまったのではないかと感じたことを川柳に表しました。このように自分の捉え方次第で視野が広がるということを改めて実感しました。これらの思いがこの川柳に込めた意味です。
- 吉永 実記さん
「空と傘 かわるがわるの 色模様」
天気が変わりやすく空が変わると人の持つ傘も用途も色模様も変わっていくと感じる時期を詠みました。
- 加茂 清花さん
「周りには 意外と科学 あふれてる」
食嗜好科学の講義を通じて、私たちの摂食行動や購買行動は科学的に解明されていることが多く、科学は、食嗜好だけでなく他分野でも私たちの暮らしに深く関係していると感じたからです。
そして、合計3回の投票で見事上位5位に選ばれた学生には授業担当の横向先生より記念品がプレゼントされました!
オンラインでおこなった食嗜好科学の授業。学生からは「新たな知見を得ることができ、毎回の講義が楽しく充実していました」「食に対してダイレクトに学ぶことができ、単純に面白いと感じました」などと感想をいただきました。
食嗜好科学の授業を担当の横向先生より振り返っていただきました。
【2020年前期「食嗜好科学」を振り返って】
この2週間は食品科学実験実習の集中講義でフードコースの52名全員に初めて会うことができた。私は2020年4月に着任し「食嗜好科学」の授業で会う予定だった。5ヶ月後の9月、やっと会えた。学生の皆さん達は、普通に日常に少し緊張感をもって戻ってきてくれたように見える。おかえりなさい。先ずは皆さん無事で何よりという安堵の気持ち。
3月4月のコロナ禍の自粛、入学式の中止、4月7日から5月25日緊急事態宣言、毎日午後3時過ぎには東京での新規感染者数のニュース。この半年流れない日はないし今でも続いている。東京オリンピックの延期、県跨ぎの往来の禁止、7月には集中豪雨。そして安倍首相から新総裁へ。いろいろあった。でも、こうやって皆さんに初めて会うことができて、なんだか・う・れ・し・い。今になって思うと、迷いながら始めた川柳。オンライン授業で毎週、最後に小テストと一緒に「今の気持ちを川柳で答えてください。」と、回答をTEAMS/ FORMSに送ってもらった。それは、日常の中で「つながる一本の手紙」のようなものだった。
おいしさを 考えると 奥が深い 中鉢 遥貴
気持ちいな 窓から入る 夜の風 森 崇智
大学に 植えたシャクヤク 咲いたかな 吉永 実記
マスクなし 元の生活 戻りたい 金 書賢
初めての 二人で食事 味分からず 山中 悠斗
川柳わずか17音で咄嗟に考えてくれたものもあるのかもしれない。皆さんの日常が垣間見えるピリッとするものやクスッと笑えるものもあった。
エンディング 川柳読むのは 吉田類 松嵜 拓朗
冷蔵庫 開けてびっくり なにもない 佐々木 翔汰
自粛中 だらけまくって 腹が出た 和田 朋也
川柳は ちょっと難しい 外人だ 王 子超
自宅待機 学び屋恋し 孤独感 湯田 瑞希
教職員の方々に投票をお願いした。川柳を通じて見知らぬ職員の方と話しが始まったり、廊下で「あの句好き」なんてことも言われた。自粛自粛のやるせない話題の中で川柳に救われたところもあったように思う。人と人をつないでくれた。特にアグリコースの佐藤豊三先生とは川柳談義が続いたし背中を押してもらった。上位表彰者は写真の通りだが、上位に入らなくても心に残る名句があった。
安倍マスク いまだに来ない もういらない 安藤 浩平
いつだろう 学校行くの しりたいな 吉田 悠人
自粛中 どこへも行けぬ 気が滅入る 井関 涼
10万円 欲望のまま 使い切る 小関 雛
米の上 見た目お宝 いくら丼 小林 悠哉
特に、5月6月7月と自粛期間が延長され、オンライン授業が日常になっていき、そこはかとなく広がる不安感、これからどうなっていくのだろうという気持ちが表れていたように思う。オンラインは配信する側も不慣れだった。
初めての 遠隔授業 難しい 土田 有晟
大変だ オンライン授業 慣れるのに 小森 浩介
年寄りを 黙らす一言 オンライン 郡司 青空
オンライン 良いも悪いも 自分次第 原 健
今日の授業 回線悪すぎ まじ萎える 金田 瑞季
ごめんなさい カレー食べつつ 授業受ける 眞貝 佳央梨
投票する側も学生たちへの心配の声も聞かれ、川柳に投句しているのは食嗜好科学を選択したフードコースとアグリコースの55名であるが、その先に他の学生、1年から3年の350名弱の生活に思いをはせる教職員の心があったのだと思う。一緒に頑張ろう!という仲間意識のようなものも芽生えていった。
シャー芯と おなかが減った 月曜日 柏倉 康平
質問を 書いて欲する さかな釣り 吉田 悠人
就活が ついに始まり 忙しい 横山 大星
甘い味 色で変わるよ 面白い NGUYEN THI THUY TRANG
軽度でも 熱中症に 気を付けて 里見 朋香
川柳全体を眺めると、コロナと自粛、オンライン、季節の移り変わりと自然、食生活、就職活動への不安などが話題に。そして、徐々に、前向きな句が多くなり太陽の輝きを感じる余裕も見られ、時間経過とともに言葉が外の世界を描くようになっていった。
移動解除 旅行したい 攻略作る 程 煜洲
たまにはね 光合成しに 外行こう 櫻井 敏規
明日には 明日なりの 風が吹く 遠山 伊央璃
月曜日 また一週間 がんばろう 小久保 夏希
楽しいが 難しい食 嗜好科学 加藤 優来
授業後に、この川柳を読むのが楽しみで励まされもした。まだ会えずにいる人の個性あふれる17音に、世界観が急激に変わる情景の変化を楽しませてもらった。そしてこのように、NAFUマガジンに掲載してもらっている。後半の3回の授業からの16句を紹介したい。前半の句と比べてみてほしい。
課題増え 固まるPC 凝るは肩 巳亦 優大
大学に 行かずにもうすぐ 夏休み 朝岡 亮太
オンライン 二度寝をしても 余裕あり 柏倉 康平
キャンプ欲 知識が日に日に 増していく 郡司 青空
話したい 数多の出来事 会いたいな 櫻井 敏規
曇りでも 心はいつも 晴れ模様 菅野 透稔
世の中に 美味いが無いと つまらない TRUNG NGUYEN TRAN
発表中 家の時計が 鳴り響く 中 達郎
(オンライン授業のTEAMSでカメラをオンにしている様子)
隣人の 風邪が心配 レオパレス 小関 雛
幸せだ 実家が一番 落ち着くな 佐々木 翔汰
梅雨盛り 紫陽花喜悦 我気鬱 松嵜 拓朗
子供餓死 食品ロスを 問題視 米内 裕都
月曜日 お疲れ様の 赤ワイン 薛 佳镒
最近は 実家に帰る 夢を見る 原 健
自己責任 だったらトップは いらなくね 小関 雛
久しぶり 綺麗な太陽 きもちよき 西村 剛
川柳は自由に誰もが言葉を選び、感性豊かに17音に表現することができる。わずか3か月間10回の川柳投句。そんな中にも変化を読み取ることができた。この若い感性のアンテナを是非とも科学する心にも使い、自由に発想を広げて、サイエンスの世界でも創造性を発揮していってほしい。このように振り返る機会をありがとうございました。学生の皆さん、投票者の皆さんへ、心から感謝を込めて、川柳が大好きなアグリコースの佐藤豊三先生にこのバトンを渡したいと思います。
稲穂垂れ すくっと鷺立ち 背筋伸び
何気ない 日常にこそ 光あり
フードコース 横向慶子
オンラインでの授業でも学生の成長を川柳を通して実感することができました!
自分の気持ちを伝える大事さ、大切さを忘れず学生生活を送っていただきたいですね♪
次回は川柳がお好きな佐藤豊三先生に川柳への想いを語っていただきました!お楽しみに♪