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【授業紹介】果樹栽培および古木原木保全の技術について学びました!<樹木学特別実習>

今年度より取得可能になった樹木医補。受験に必要な科目の単位を修得し、登録申請することで認定されます。

9月15日(金)、特別実習の一環で県内の果樹の原木、古木の保存状況、花木類の見学を行いました。

まず訪れたのが新潟市南区大別当にある類産梨古木。



先祖代々の木を守る深澤様にお話を伺いました。
なんと「類産梨」は現存する最古の梨の品種!享保年間(1716~1735年)に栽培が始まり、200年以上の歴史を持つ梨で、昭和16年には国の天然記念物にも指定され、その文化的価値が認められています。

昭和39年、根腐れが原因で衰弱した為移植を行うことに。根を掘り、その周りをワラで覆い、移動の際には地面に丸太を並べ、少しずつ移動させたそう。機械がない時代の人々の知恵と工夫、絶対に枯らさない、という熱い想いを感じることができました。

卵型の果実が葡萄の房のようになることが特徴です。

現在は樹木医の診断を定期的に受け、手入れを行うことで未来へつないでいます。傷んだ部分を削り取り、手入れをしている部分も見せていただきました。

また、酸味が強いことから地元のお菓子屋さんでは梨ようかんとして販売されています。

 

続いては新潟県の特産である「ル レクチエ」の古木の見学へ。

明治35年、当時の中蒲原郡茨曾根村の小池左右吉氏はウラジオストクを訪れ、西洋なしのおいしさに感動を覚え、原産国フランスより数品種の苗木を直輸入し、栽培に取り組みました。
その中で最も品質がすぐれていたものが「ル レクチエ」でした。

当日は左右吉氏の玄孫にあたる小池ゆかり様にお話を伺いました。

古木はマメナシなどで根接ぎ木をし、保全を行っております。また県の名木にも指定されており、約120年という圧巻の歴史についても知ることができました。

スイーツの巨匠ピエール・エルメが訪れたこともあるそうで、県を代表するフルーツになっております。

県外出身の学生さんはぜひ食べていただきたいですね!

 

常時2000種類・約4万鉢の展示販売を行う、道の駅花夢里にいつで昼食をとった後は新潟県秋葉区古田の平核無(ひらたねなし)柿の原木の見学に行きました。

種のない木で越後七不思議に次ぐ珍しい柿ということから「八珍柿(はっちんがき)」と呼ばれています。
10代目に当たる川崎様にお話を伺いました。

10年前は照り返しなどで少し木が弱ってしまったこともあったそうですが、今は回復しており、また、盛土の場所に植えられているため水が余分にたまらず保存に適しているそうです。
この八珍柿は通常の柿の1.5倍の135本の染色体数を持つそうで、根を採取し染色体数を調べた結果、原木だと証明されました。昭和37年には県の文化財に指定されています。

佐渡では「おけさ柿」、山形では「庄内柿」、和歌山では「たねなし柿」などの名前で全国で広く栽培されています。
川崎様は平核無柿を使ってお菓子も作られるそうで「ぜひ食べに来て」とにこやかに仰っていたのが印象的でした。

 

見学の最後は新潟県立植物園へ。学生は植物園で栽培されている樹木を観察したり、牧野富太郎展を見たり、各々樹木・花木について知識を深めておりました。

新潟県が誇る果樹について歴史から現在の保全技術などを学び、先人たちの技術、想いを知ることができました。

 

翌日は山形県と秋田県の県境にある標高2,236mの鳥海山へ。またの名を出羽富士とも呼ばれ、山麓周辺の人々の守り神として、古くから崇められてきました。

鳥海山からの融雪水による冷水害対策として、水路幅を広く、水深を浅く、落差工を連続させた日本初の温水路である「上郷温水路」を見学したり、夏緑葉樹の観察をしたり、知識を深めている様子が見られました。

<What’s 樹木医補?>

樹木の保護管理、樹勢回復、治療などに関する専門家です。国土の保全や緑化に関わる業務で環境緑化全般の技術者として自然の木々を守る役割を担います。

 


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