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【第16回】食の東西①

フォッサマグナ(中央地溝帯)の西縁が「糸魚川-静岡構造線」です。
食文化論では、「この西縁線あたりを境に西南日本と東北日本の食生活が分かれる」ともいいます。
そこで、これから2回にわたって、「食の東西の違い」を紹介していきます。

東のサケ、西のブリ  
お正月用の塩魚を「年取り魚」といい、新潟、長野でも東西の違いが見られます。
下越・村上のサケ(塩引き鮭)は絶品ですが、佐渡あたりから西にはブリの立場が強くなるようです。
長野でも、東北信濃は「塩鮭」、松本、伊那、木曽地域では「塩ブリ」と好対照です。
しかし、最近は、加工、流通、貯蔵技術の変化やコ-ルドチェ-ンの発達、
食の国際化のなかで、境目は曖昧になっています。

 NAFUでは、食の技術が食文化の変化に及ぼす影響も学びます。

牛と馬の違い、肉じゃがの違い 
「北馬西牛」という言葉があります。輸送、荷役、耕作を牛、馬のどちらによるのかをいうものです。
奥州の馬は、平安時代から京都に献上され、また、交易の対象でもありました。
関東以北には広大な牧が展開して、馬の放牧、飼育にはこと欠かない一方、
西国ではその役割を牛が担っていたという説です。
明治になって、西洋の食習慣から牛肉を食べるようになったとき、関西では、廃牛が供給源として一般的になり、
牛の少ない関東・東北では、その地位を新規導入の豚が担うことになったのでしょう。
こうして、「肉じゃが」も、関西では「牛肉」、関東以北では「豚肉」がメインになって、
ところによっては、「すき焼き」の肉にも同じ傾向が見られます。

牛肉消費量を比較してみると、いまでも、西と東で大きな差があります。
神戸の食肉店では、牛肉に大きなスペ-スが与えられ、豚は肩身が狭いのです。
北海道・池田の「十勝ワイン」の製造は、地元の牛肉をもっと食べるようにと、
当時の町長が始めたと聞きます。


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