学長コラム
【第37回】食べものは音でも味わう
人間の五感
甘味、塩味、酸味、苦味、旨味と5つの「食味」は、すでにお話ししました。
私たちは、食事を「五感」でも味わいます。
五感は、①視覚、②聴覚、③嗅覚、④味覚、⑤触覚です。
手に伝わる感触を言葉で表現すると、たとえば「寿司をつまむ」「蕎麦をたぐる」といった具合になります。
ちょっと脇道になりますが、「将棋を指す」「囲碁を打つ」と、こと・ものと感触はセットなのです。
温度で味わい、音でも味わう
和食文化に詳しい知人の話によれば、ごはんや味噌汁、牛乳の温度なども
食事を美味しくいただくポイントだといいます。
また、温度は、食材の香りを高める作用もあります。松茸の土瓶蒸しがぬるければ興覚めです。
さらに、日本人の食事が幸せなのは「音」で
「味噌汁を啜る音、漬けものを噛む音、蕎麦を啜る音
数の子を噛む音などを聞くことで食欲がそそられるのです」
とも指摘しています。
その方が格段に美味しい手段である「箸」を使うことで食べ物を啜(すす)って食べることができる、
日本人は幸せだということでしょう。
見た目も肝心
順序が逆になりましたが、視覚も大事です。
徳島の上勝町がお皿に盛られる食事の彩りとして「木の葉っぱ」つまり
青葉、若葉、紅葉を生産・販売しているのも
兵庫の御津町が梅の花のつぼみで「箸置き」を創って
売り出したことがあるのも視覚に訴えているのです。