学長コラム
【第42回】納豆の起源と発酵食品
日本は、温暖・湿潤な気候風土のため、<有用な菌類>の宝庫です。
穀物・豆類を煮て塩を加え、空気にさらせば麹菌や酵母が働いて
腐敗は防止しつつ発酵が進み、醤油、味噌、日本酒、酢などが生まれます。
そして、長期の保存も可能になります。
また稲ワラなどに生息する<枯草菌>(納豆菌)はその発酵作用で、納豆を作り出します。
今回のコラムでは発酵食品の中から「納豆」を選び、いつ、どうして誕生したのか
歴史とエピソードに触れてみたいと思います。
弥生時代に生まれた?
納豆(糸引き納豆)は、煮大豆と稲ワラに含まれる「納豆菌」によりできます。
容器代りのワラに入った納豆がいまでも見られます。
それで、稲作が本格化した弥生時代まで起源を遡(さかのぼ)れると想定するのです。
(古文書に登場するのは、平安時代中期)
奥州征伐の戦さで偶然に?
面白い伝説としては「八幡太郎・源義家」が後三年の役の際に
急な戦いが勃発し馬糧だった稲わらに、煮大豆を「一時保管」して
戦いが済んだ後で開けたところ、発酵していた。勇気をふるって食べたところおいしかったというのです。
水戸黄門の納豆は黒大豆?
納豆は茨城・水戸の名物ですが、引退後「西山荘」に住んだ水戸光圀が注文して作らせた納豆は
原料が黒大豆だったということを聞いたことがあります。
しかし、「水戸黄門漫遊記」には、納豆は登場しませんね。
スーパーの棚を見ると<北海道産の小粒黒大豆の納豆>が並んでいることがあります。
稲ワラに入った煮大豆から納豆が生れたことはほぼ分かりましたので
次回は「納豆がなぜ三角形の経木(きょうぎ)=容器に入れて売られていたのか」などを調べてみましょう。