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【番外編③】食、農、地域のあれこれ

エデイブル・フラワーとミツバチを取り上げる。
ちなみに、日本人が好む海藻類は、「エデイブル・シーウイード」という。
もう一つは、野菜や果物を結実させる「交配機能」を果たすミツバチで、いずれNAFUでも導入したい。

4 エデイブル・フラワー(食べられる花)

新潟の「食用菊」は有名で、刺身のつまはもちろんかなりの量を「酢の物」にして食べるが
ここではちょっと毛色の変わったエデイブル・フラワーを紹介する。

まずは、信州安曇野の「宗徳寺」である。
寺は法事や人の寄り合いも多く、常にお茶うけの漬物が欠かせない。
ある日のこと、鮮やかなピンクの酢漬けを出されて
「当ててみてください。ヒントは目の前、庭にあります」と言われた。
目を中庭に移すと、そこには、見事な石楠花(アズマシャクナゲ)がある。

新しい花から雄しべ、雌しべを外し、ごく軽く湯通ししてから酢漬けにすると、
酢の力でピンク色がよみがえって、目の前の美しい漬物になるというのだ。

つぎに、埼玉・羽生の「全龍寺」では、「お土産に藤の花でもいかがですか?とてもおいしいですよ」と問われ、
ビックリしたことを思い出す。
シャクナゲの花と同様に、新花をこそいで、おひたし、酢漬け、天ぷらにすればおいしい。
とくに香りはすばらしいという。「クローバーもタンポポもみな食べられます」と説明され
食べものは「買う」ばかりではない、経済が豊かになると、
かえって、季節を感じる感覚が貧困になるのをどうすればいいか、考えさせられた。

(日本橋人形町だより 20095月号)

 

5 リンゴの花とミツバチ

白馬村の古くからの養蜂家によれば、
「リンゴの花は美しいが、消毒薬大量に使われる。
ミツバチは繊細な生き物であるので、この時期には外に出さない。」
岩手の有名な養蜂家の藤原さんも同じ指摘をする。
こちらは、「稲に使われるネオニコチノイドが最も危険だ。
そもそも稲に使わなければならない必然性はないし、
そうした薬品は、最も弱い生物であるミツバチにも害がないレベルでなければならない」というが、
もっともだと思う。

ハチは、蜜を採取するばかりでなく、温室内の農作物の交配に不可欠なものである。
それがダメージを受けたのでは元も子もないのだ。
残念なことに、これは、人間への警告かもしれない。

(風に吹かれて 20125月号)


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