松田敦郎副学長が代表取締役を務める「J-PLANTS」が始動!
日本で開発された果物などの新品種が海外に流出する被害を防ぐため、農林水産省が認定する育成者権の管理・運営の新たな仕組みが始まりました。
2026年7月、全国農業協同組合連合会(JA全農)などが設立した株式会社J-PLANTSが、初の「適格な育成者権管理機関」として農林水産省から認定されました。
同社の代表取締役を務めるのが、本学の松田敦郎副学長です。
「J-PLANTS」は、新品種を開発した人や団体に代わって、国内外の事業者への利用許諾から、海外での無断栽培の監視、権利侵害の抑制まで、一括して担います。
松田副学長に「J-PLANTS」について伺いました
海外に流出する日本の新品種
日本では、長い年月をかけて開発された果物などの新品種が海外に持ち出され、無断で栽培・販売される問題が起きています。
愛媛県で開発された高級柑橘「紅プリンセス」も、その一つです。ゼリーのような食感と濃厚な甘さが特長で、約20年をかけて開発され、2022年に品種登録されました。現在、海外で苗木が販売されている疑いが生じています。
農林水産省の調査では、「紅プリンセス」のほか、赤い大粒の実が特長のブドウ「クイーンニーナ」など54品種が、海外で同じ、または類似した名称で販売されるなど、無断で持ち出された疑いが生じています。5年前の36品種から増加しています。
開発者に代わって権利を管理
新品種の開発者には、個人や小規模な事業者も多く、海外に流出する被害に遭った場合でも、十分な対応が難しいケースがありました。こうした状況が、新たな管理機関の設立の背景の一つとなっています。「J-PLANTS」は、こうした開発者に代わり、新品種の権利を一元的に管理します。
開発者と代理契約を結んだうえで、国内外の事業者とライセンス契約を締結し、許諾料を開発者に還元します。また、海外で無断栽培されていないかを現地の事業者と共同で監視します。
改正種苗法で品種登録前の対策も
新品種の海外流出をめぐっては、2026年7月に改正種苗法も成立しました。
改正法では、品種登録の出願が公表された後、品種登録される前の段階でも、一定の条件のもとで出願品種の種苗などの輸出差止めを求めることができる制度が設けられました。
これにより、新品種の海外流出を防ぐため、流出する前の段階での対策と、流出後の権利侵害への対応の両面から、対策を進める体制が整いつつあります。
松田敦郎副学長のコメント
新潟食料農業大学の圃場では二ホンナシ、ブドウが収穫の時期を迎えています。育種開発者の大学教員が研究目的で果樹を栽培していますが、外部からの侵入者を避ける管理とともに学生には研究目的として栽培に携わるように指導しています。
夏から冬にかけて日本ではナシ、ブドウ、カキ、リンゴなどが収穫時期となり食卓を楽しませます。それぞれの果物には色々な特徴があり、リンゴでは1962年に「りんご農林1号」として登録された「ふじ」が甘みと酸味のバランスがよくてシャキシャキ感があることから、国内でのリンゴの品種の中では最も多く生産されています。
実は「ふじ」は日本だけでなく、世界で最も多く栽培されているリンゴの品種です。日本で育種開発された「ふじ」は、研究者の意図しない形で海外へ流出し、普及しているということになります。
近年、同様の問題が日本で開発された優良品種で発生しており、研究者が育種開発により生み出した知的財産が海外で無断利用されることに、多くの国民が危機感を感じています。
日本で開発された新品種をめぐり、その権利を適切に管理し、国内外での適正な利用につなげる新たな仕組みを構築し、日本の農業のすばらしさを世界に示したいと思っております。