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2023年度第2回 アグロフードセミナーを開催「バナナを通じたSDGs―エシカル消費で未来を変えよう―」

本学では、食料産業の発展方向を探り、情報を発信するために企業や研究機関等と連携し、アグロフードセミナーを実施しています。

今年度は、「食がつなげるサステナブルな地域づくり」を年間テーマとし、10月13日(金)今年度第2回目の「アグロフードセミナー」を実施しました。

第2回目は「バナナを通じたSDGs―エシカル消費で未来を変えよう―」と題し、2つの事業者様にご講演いただきました。

 

当日のアーカイブ配信はこちら からご覧いただけます。

(前列左から)

シモダ産業株式会社 取締役副社長・営業企画部部長 霜田真紀子 様

本学食料産業学部長 社会連携推進室長 武本俊彦 教授

特定非営利活動法人APLA 事務局長 野川未央 様

(後列左から)

本学食料産業学部食料産業学科 フードコース  阿部憲一 講師

本学食料産業学部食料産業学科 ビジネスコース 岩坂健志 教授

本学食料産業学部食料産業学科 アグリコース  田副雄士 講師

 

【第1部】講演

シモダ産業株式会社 取締役副社長・営業企画部部長 霜田真紀子 様

「循環から生まれた『越後バナーナ』が地域と目指す持続可能性」

第1部では、シモダ産業株式会社 取締役副社長・営業企画部部長 霜田真紀子 様より、サーマルリサイクルにより雪国でのバナナ栽培についてお話しいただきました。

 

越後バナーナが生産されているシモダファームは、シモダ産業株式会社において、産業廃棄物処理の際に排出される熱を再利用し、ハウスにてバナナ栽培を行っています。

新潟という寒冷な気候で、ギリギリまで樹上で成熟させるため、上品な甘さと香りが特徴だそうです。また農薬不使用で育てられており、生産者にも消費者にも安全安心なバナナです。

越後バナーナは、栽培過程もサステナブルですが、柏崎市高柳町門出地区の和紙職人の手でバナナの切り株を和紙へ生まれ変わらせたり、規格外商品を地域のお店と協力し商品化する事で食品ロス提言に繋がる取り組みをされたり、またこれらの取り組みを題材として地域の小中学生向けに総合学習支援もされるなど、持続可能な地域を目指した様々な取り組みをされていらっしゃいます。

 

【第2部】講演 特定非営利活動法人APLA 事務局長 野川未央 様

「バランゴンバナナがつなぐフィリピンと日本―草の根のバナナ交易、34年の歴史と現在―」

第2部では、特定非営利活動法人APLA 事務局長 野川未央 様より、フィリピンで生産されているバランゴンバナナの民衆交易についてお話しいただきました。

APLA様は、MDGs(2000年)やSDGs(2015年)が定められるより以前、1980年代から、活動をスタートされています。

 

フィリピンネグロス島は、サトウキビ産業が盛んでしたが、国際価格の暴落により、農園労働者が仕事を失うなど危機に直面したそうです。その際、日本からの持続可能な支援の手段として、砂糖を購入する事で支える(フェアトレード/民衆交易)事業を始められました。

一方、1980年代にはバナナの大規模プランテーションの開発が進み、環境や人権問題など様々な問題が取り上げられるようになります。そこで「安全で安心なバナナを子どもに食べさせたい」という消費者の声が上がり、バナナの民衆交易がスタートします。

民衆交易での輸入を始めた当初は、農薬や化学肥料不使用のため、真っ黒に腐ったり、軸がバラバラになったりと試行錯誤の連続だったそうです。

今でも規格外バナナはどうしても出てしまうそうですが、「ぽこぽこバナナプロジェクト」という規格外未利用バナナを活用し廃棄を減らす取り組みをされています。本学では、廃棄されるバランゴンバナナの皮を活用した研究を行っており、第3部でご紹介いたしました。

 

【第3部】パネルディスカッション

「バナナを通して循環型社会を考える」

ファシリテーター/

本学 食料産業学部長・社会連携推進室長 武本俊彦 教授

登壇者/

シモダ産業株式会社 取締役副社長・営業企画部部長 霜田真紀子 様

特定非営利活動法人APLA 事務局長 野川未央 様

本学食料産業学部食料産業学科 フードコース  阿部憲一 講師

本学食料産業学部食料産業学科 ビジネスコース 岩坂健志 教授

本学食料産業学部食料産業学科 アグリコース  田副雄士 講師

最後に武本教授がファシリテーターを務め、参加者からいただいた質問に回答しながら、パネルディスカッションが行われました。

第3部冒頭、岩坂健志教授より本学教員3名で取組んでいる研究(メタン発酵によるエネルギー回収及び発酵残渣の肥料利用)について紹介されました。

規格外未利用バナナの活用というと、食べられる部分を加工するといった事例が多く、どうしても皮は廃棄されてしまいますが、研究ではバナナの皮を活用しているため、余すところなく有効利用しています。

本学では、社会連携推進課及び新潟食料健康研究機構を窓口に、様々なご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

 

今回のセミナーは、対面及びオンラインでのハイブリッドにて実施いたしました。

ご講演いただいた皆さま、会場及びオンラインにてご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

次回のアグロフードセミナーもご期待ください。

 


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