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【授業紹介】栄養改善事業から今後の栄養改善の方向性について考える<食産業学特論>

2022年4月より本学大学院 食料産業学研究科 食料産業学専攻が始まりました。

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大学院ではどのようなカリキュラムが展開されているのでしょうか。
今回は「食料産業学特論」の授業をご紹介!

「食料産業学特論」では農業、食品製造・加工、流通・販売、外食、資材供給、輸入およびその他の関連産業の各分野について、先端的知見を含め、総合的、包括的かつ実践的な知識を修得し、その諸課題を把握するとともに解決の方策を探求する能力を醸成します。

7/1(金)には栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP)事務局、一般社団法人 食品産業センター 海外室長 山口 隆司様にリモートによるご講義をしていただきました。

まずはNJPPP設立と国際的な栄養改善の流れについて教えていただきました。

 

■栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP)とは…

民間企業のアイデアとイニシアティブをもとに、日本の技術と知見を活かして、途上国・新興国の国民の栄養状態を改善できる食品供給などのビジネス(栄養改善事業)を推進するための、官民連携の枠組みです。(出典:“栄養改善事業推進プラットフォームとは”栄養改善事業推進プラットフォーム)

また、2012年にロンドンオリンピック・パラリンピックが開催された際、オリンピックという機会を活かして、地球規模の課題に対する具体的な国際的コミットメントを得ようとする英国政府のイニシアティブによって始まった栄養サミットについてもお話いただきました。

日本でも東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催(2021年開催)に合わせ、栄養不良の解決に向けた国際的取組を推進するために、2021年12月に東京で開催されました。

 

続いて、実際に取り組んだNJPPPプロジェクト、特にカンボジアでの栄養強化米を使用した健康推進戦略についてお話しいただきました。

ある職場給食に栄養強化米を導入し、妊娠適齢期女性の栄養素欠乏に対して実証試験を行いました。

結果として、血清中葉酸濃度が栄養強化米飯の摂取頻度に比例して上昇し、有意に改善し、従業員の働く意欲も向上したことが分かりました。

しかし、「健康な食」の大切さや栄養バランスの重要性について理解していたとしても、家庭環境や経済状況によって持続可能なビジネスモデルとして策定するには課題が残るともお話いただきました。

日本では「健康な食」として考えられる食事でも必ずしも全て受け入れられるとは限らず、現地では柔軟に対応し、食事の多様化を考える重要性についても学ぶことができました。

 

最後に東京栄養サミット2021について議論のテーマや民間企業におけるコミットメント作成への取組、東京栄養サミットの成果などをお話いただきました。

さらに今後の方向性として、日本の戦後復興における栄養政策について、国民栄養調査や栄養士養成、学校給食制度などを挙げ、「これらは日本が世界に誇れるもの」だと教えていただきました。

日本で暮らす私たちにとっては当たり前なことでも世界では特殊であり、国際的な課題解決のための糸口になる可能性についても知ることができました。

 

講義終了後は学生より研究に関連した昆虫食の推進についての質問や味噌醸造に関する質問が寄せられ活発な質疑応答の様子が見られました。

今回の講義内容を今後の学問、研究に活かしてください!

 

山口様、お忙しい中ご講義ありがとうございました!


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