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【授業紹介】水産資源の管理について<生物資源循環論>

2年生の必修科目「生物資源循環論」にて、新潟県水産海洋研究所 所長 河村 智志 様にお越しいただき、特別講義を行いました。新潟県水産海洋研究所では、豊かな海の恵みを将来にわたって育むため、漁業・資源管理・増養殖・水産加工に関わる試験研究に取り組んでいます。

皆さんは「資源」というと何を思い浮かべますか? エネルギー資源、再生資源、生物資源、、、様々な資源がありますが、今回は「水産資源」の管理について講義していただきました。

水産資源である魚介類は、決して無限に存在するものではありません。乱獲によって数を減らしている種類も存在します。講義では、持続可能な漁獲量や乱獲される魚の種類についてお話しいただきました。

具体的には、水産資源は鉱物資源や石油資源とは違い、毎年新しい個体が誕生します。この資源の増加分に当たる量だけを漁獲するのであれば、資源は常にもとの量を保ち、漁業者は毎年持続的に漁獲することができます。この持続可能な最大の漁獲量を、最大持続生産量(Maximum Sustainable Yield)と言います。しかし、この最大持続生産量は環境により変化するものであり、予測することが非常に難しいとされています。

では、現在世界の水産資源の状態はどうなっているでしょうか。世界の水産資源の3分の1が過剰漁獲(乱獲)の状態で、今後、生産増大の余地があるのはわずか10%未満に留まっています。また、日本では資源評価を行っている魚種の約半数で資源水準が低位の状態にあります。

その水産資源を管理するために、ルール(漁法)が定められており、地域によって違いはありますが、細かく基準が示されています。講義の最後に、実際のズワイガニ漁を例にして、「あなただったらどうしますか?」と学生が当事者になって考えてみました。

講義を受けた学生から

「水産資源の管理や乱獲について初めて知ることが多くとても勉強になりました。特に、水産資源の管理は資源を管理するだけでなく、ルールを守るという人の管理でもあるというところに深く共感しました。今回の講義は新しい発見が多く、今後の学習に活かしていきたいです。」

「魚介類の乱獲などは前々から問題になっていたため、なんとなく理解していたつもりでしたが、今回の講義を受けてSDGsの14番「海の豊かさをまもる」への対策をさらに考えて行動していかなければならないと改めて感じました。」

「生物資源という言葉1つをとって考えてみても、多岐にわたる生物がいて、その生物1つ1つが資源であるということに改めて気づくことができました。そして、その資源を活かす方法は幾つもあり、メリットとデメリットを考えて行動しなくてはならないということを学びました。」

など のコメントがあり、学生が水産資源について考える貴重な講義となりました。
河村 智志 様、ありがとうございました。


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