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【授業紹介】新潟県下越の自然環境 ~水域を中心に~<生物資源循環論>

本学では様々な授業で外部講師の方に特別講義を担当していただいています。

今回は2年生必修授業の「生物資源循環論」にて行われた特別講義の様子をご紹介します!

7月22日(金)、本学客員教授の新潟県水産振興協会 専務理事 藤田 利昭 様より『新潟県下越の自然環境』についてお話いただき、生態系保全の重要性と取組みについてご講義いただきました。

 

新潟は日本一長い川・信濃川を有しており、その豊富な水量により支流に至るまで豊かな生態系が存在します。

そして、稲作も盛んであるため田んぼにも数多くの生き物が生息しています。

「それらの生き物は農林水産業にとって欠かせない存在である」と、藤田様は話します。

例えば、田んぼのドジョウやタナゴは農地の水をかき混ぜて濁らせ、雑草の生育を抑制しています。

豊かな生態系の営みが人間にとっても恩恵となっていることが分かりますね。

そんな豊かな環境・新潟の田んぼには、絶滅危惧種の生き物も多く生息していることも学びました。

例)

★イバラトミヨ(新潟県胎内市・新発田市以北に分布する淡水魚、良好な農業環境の指標種として重要)

・メダカ

・タガメ

・ゲンゴロウ

・ドジョウ(準絶滅危惧種)

・トノサマガエル(準絶滅危惧種)

 

こういった生き物が農業用水路のコンクリート化などで、棲む場所を失い絶滅危惧種になっているというのです。

生態系サービスを損なわないため、これらの種を保全することはとても重要です。

 

また、生態系を破壊する存在として「特定外来種」についても学びました。

有名なブラックバスやブルーギルといった外来魚は、もともと生息していた生き物を食べてしまったり、交雑などで現存種が保たれなくなる要因となってしまいます。

 

こういった学びを通して、講義では「豊かな水」について考えました。

それは即ち「生態系が形成される水」!

飲料水のような「清潔な水」でなく、生き物の生育に必要なミネラルや栄養素を含む水であるという結論です。

そしてそれは、自然豊かな森が育んでいました。

水域に棲む生き物にとっても、農地など人間の生活圏にとっても、自然の生態系を保つことがとても重要であるということを学びました。

 

--学生の感想--

・講義中の先生の「生物資源の循環、つまり食物連鎖は一方通行でなく「ネット」である」という言葉はとても腑に落ちた。さまざまなつながりのもと、地球上の生物は関わり合って生活していると実感した。

・生態系を保全する必要性を知った。何事も人間主体の目線で開発してはいけない、農業の観点でいえば除草や駆虫も極端にやりすぎない、農地開発も自然との共生を念頭に計画実施することが大事と感じた。

・農業の機械化は労働力不足など人間社会の問題の解決策の一つではあるが、これもやりすぎると自然を顧みない開発につながる恐れがある。反面、機会を捨て農具や人の手でこれから拡大する食料消費を賄うことも困難。ICTなど新たな技術を活用し、「工夫」をして直面している食料危機を解決しながら自然との共生を図っていきたい。そして、その方法を学び、研究したい。

 

本講義で学生たちはたくさんの気づきがあり、新たな問題提起にもなったようです。我々が直面している社会問題に注目し感じたことを、ぜひ今後の研究に活かしていってくださいね!

 

新潟県水産振興協会 専務理事 藤田 利昭 様、お忙しい中、大変ありがとうございました。

 

新潟県水産振興会HP:http://niigata-suisan.jp/

 


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