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【授業紹介】新潟県での水産物利用の現状と課題<畜・水産物利用学>

フードコース3年生必修科目「畜・水産物利用学」では、水産資源ならびに乳・畜産資源を食品に利用する上での原料特性や加工特性、ならびに食品としての栄養や品質、機能性などについて学びます。

今回の授業では、新潟県佐渡地域振興局農林水産振興部 水産庁舎 副部長 海老名 秀 様にお越しいただき「新潟県での水産物利用の現状と課題」についてお話しいただきました。

水産庁舎での業務は、漁業協同組合指導や漁船登録、水産業普及指導、漁業調整などです。また、過去に所属していた水産海洋研究所、食品研究センターでは、新潟県で獲れた水産物を使用した利用加工の技術を開発し、その技術を提供します。

今回の講義では、①漁獲後の品質管理に関する研究、②加工品製造技術に関する研究の2点からお話しいただきました。

①漁獲後の品質管理に関する研究
ここでは主にブリの脂肪量とズワイガニの身入りの「非破壊測定」についてご説明いただきました。特にズワイガニの測定は、ブランド品の選別に活用されています。従来、熟練の選別人が経験で行ってきた選別を数値化することで客観的な選別が可能となり、消費者が安心してカニの品質ランクを把握することができるようになりました。

②加工品製造技術に関する研究
ここではスルメイカ肉の特性である「起泡性」と「乳化性」を利用した新規加工技術開発についてご説明いただきました。
 1つは、起泡性を利用したイカペーストを使ったピザ生地です。イカピザ生地は高タンパク質・低糖質で、今後、高プロテイン食品として注目される可能性を秘めています。
 もう1つは、乳化性を利用したイカマヨネーズです。このイカマヨネーズ技術を応用し、高齢者向け施設で利用される「とろけるお魚」を開発しました。これにより、高齢者が食べやすい、柔らかい食感のかまぼこにすることができ、スルメイカ肉の加工技術の研究を応用し、他の製品開発につなげることができました。

授業を受けた学生から、以下のコメントがありました。

「ズワイガニの選別方法が、人の経験によって行われていたと知って驚いた。しかし、今回の技術を応用して根拠のある数字で選別される方法を知り、消費者としても安心して購入できると思った。」

「イカからピザ生地ができるとは知りませんでした。また、マヨネーズへの応用も研究者ならではの視点ですごい発想力だと思った。ぜひイカのピザやマヨネーズを食べてみたい。」

「かまぼこが柔らかくなることに興味を持った。高齢者への提供は非常に素晴らしいと感じた。その商品をぜひ一般のスーパーなどでも販売してほしい。」などの感想が聞かれ、学生が考えるきっかけになりました。

海老名様、お忙しいところ貴重なお話をありがとうございました!

 

 


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