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【授業紹介】オリジナルドリンクを作ってみよう(3年生食品科学実験実習)

食品科学実験実習では、週に2回、合計30回の授業を実施します。1回の授業が午後2コマですので、合計3時間。じっくり体験から学ぶ機会になります。

最初の4回で安全教育、器具類の取り扱いの説明の後、基本操作として試薬や溶液の調整、緩衝液の作成の操作を覚えます。化学実験は7回実施され、初めに、吸光度測定によるたんぱく質の定量を行います。そして中和滴定や塩分測定、糖度測定等を一通り終え、次に、食品分析実験では8回実施し、粗たんぱく質の測定、原子吸光による塩分測定、水分活性、GC―MSによる香気成分、粗脂肪測定、HPLCによる核酸関連物質の解析などが含まれます。そのあと、官能評価の実験が3回あり、最後、微生物実験を8回、培地調整、無菌操作を覚えた後、カビ・酵母・細菌の観察を行い、PCRと制限酵素処理、電気泳動を学んで終了です。

 

今日は、6月20日に行われた第1回官能評価実験の中でも、オリジナルドリンクの作成を体験した様子をご紹介いたします。最初に、自分の5基本味の識別テストを行い、8種の溶液(水を3つ含む)から、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の閾値濃度での体験をします。全問正解はわずか1名。昨年までは10名弱はいたのに、極端に少なくなってしまいました。塩味は正答率が80%超えていましたが、酸味が15%程度で難しかったようです。

次に、オリジナルドリンクの作成と題して、最初に、食品香料を体験。

それらの香料をまず付香紙を使って嗅ぐ体験をします。学生たちは、初めての香料体験に、どうやって香料ができるかの説明を聞きながらも、30種のすべてを嗅ぐことに夢中のようでした。

一通り、匂いを嗅ぎ、果物やスパイスの匂いの時は静かに進みましたが、カニ・エビなどの海産物になったとたんに、実験室中が騒がしくなりました。なかには、ポケットに付香紙を入れて海産物の匂いを持ちだす人も現れました。

50㏄の水に2-3gの砂糖と0.03gのクエン酸を入れて溶かし、順に好きな香料を付香してみます。参考にしたのはスポーツドリンクのポカリスエットとアクエリアスの栄養成分表示からでしたが、酸味が足りないとさらに増やしている学生たちもいましたし、2.5㎏用意した砂糖が不足してしまい、学内のグルコースまでもかき集めましたが、発酵・醸造サークルの砂糖を借用して急遽1.4キロ補充。何とか全員のオリジナルドリンクの完成に砂糖が間に合いました。

一定の砂糖とクエン酸の量に1種の香料や自分の好きなミックス香料を作って味見をしたり、周りの友人に飲ませたり、ひとしきり体験すると、500mlのお気に入りドリンクの作成になります。

「500mlのPETボトルに砂糖を30gも入らないと甘く感じないんですか」「コーラ飲料はもっと50gも入っているんだ」など、具体的な味づくりにびっくりしている会話も聞こえ、最終的には、オリジナルドリンクを一人一人が1本ずつ作成しました。

オリジナルドリンクの記念撮影と評価

 

8グループのそれぞれの人気の味を確認すると、「オレンジ・ヨーグルト」、「アップル・レモン」、「グレープフルーツ・パイナップル」、「オレンジ・レモン」、などの2種のブレンドを作ったチームと、「アップル」、「チェリー」、「パイナップル」の1種のみのドリンクがありましたが7-8人ずつのグループの中でトップはすべて果物でしたので無難にまとめた飲料ができたようです。

 

次に、「オリジナリティが高い、面白いと思った味は?」の問いに「カニ・ミルク」、「レモン・ミルク」、「ジンジャー・ミルク」、と3つのグループがミルクフレーバーを選び、「チョコレート・コーヒー」、「バター・コーヒー」のコーヒー派、「バニラ・グレープ」「バニラ・アップル」のバニラ派、「ミント・オレンジ」のミント派に分かれました。

 

「初めて香料に触れ、興味深いと思った」「食べ物や飲み物の味は、これら香料に助けられていることがよく分かった」などの感想も聞かれました。

 

オリジナルドリンクは持ち帰って、冷やして飲むことを約束に体験実習は終わりました。

担当の教員の話では、「全員がマイクロピペットを使うことを目標に企画された学習内容でしたから、誰か任せにしない実習内容になってよかった。自らの体験から学んでほしい。」と話していらっしゃいました。


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