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【授業紹介】「米ストローを世界中に広めたい」日本初の食べられるストロー<3年食嗜好科学>

7月11日(火)の食嗜好科学の授業では株式会社U Payの代表取締役である 上官 ゆい様(福岡市)とオンラインでつないでお迎えし、米ストローの開発背景と今後の展望についてお話を伺いました。

大学のある胎内市は米粉の発祥の地ということもあり、米ストローが日本政府の公式ツイッターに英語で紹介されており、授業担当教員の横向教授がゲスト講師をお願いしたところ、今回、直接話を聞く機会にととんとん拍子で決まりました。

最初に事前に送っていただいたサンプルを全員に配布。つるつるした肌触りとしっかり乾燥してある硬さを確認しました。早速マイボトルから米ストローを使って飲み始める学生もいました。

米ストローの原料は米(70%)とコーンスターチ(30%)の100%食物由来のエシカルストローで、使用後に茹でで食べることができます。無味無臭で、2時間硬いままの形状持続力により、紙ストローにありがちないやな紙の味の飲用感や、すぐにフニャフニャになる課題を解決しています。

海外のパスタストローを見て、米ストローを作ってみようと挑戦したことがきっかけで、スタートアップ製造業としてスタートしました。4歳のお嬢さんを育てながらの社長業とのことです。

現時点では日本国内と中国に工場を持ち、中国からは欧米への輸出もスタートしています。具体的に2030年には80億の売り上げ高の目標が掲げられています。一方で新商品開発も順調に進められており、プラスチックカトラリー類も開発段階とのことです。年内には耐熱性も持たせた子供用食器を販売予定とのことです。その他、竹製品の櫛や歯ブラシなども展開しています。

「世界で初めての、米とコーンスターチのみでできた、 完全植物由来のストローです。 ストローを環境にも農業にも人にとっても 心地よい形に変えたいとの想いで開発しました。」パンフレットの契約済み飲食店様一覧に新潟の古町麹製造所の紹介もされていました。

 

Q&Aの時間には様々な質問に答えていただきました。

「2023年の目標はなんですか」

全国デビューをしたいです。でも私が元気で人前で話すのが得意って思われているかもしれませんが、人って多面的で、見えている部分は1面だけです。私は実は話すことは得意ではないのですが、今年は全国ネットでこの事業をいろんな人に知ってほしいと思っています。

「使用している米の産地はどこですか?」

コメの弱点は米が重くて送料がかかることなんです。今は輸送の関係もあり、福岡産のお米が中心ですが、実はいろんなところからくず米を使ってほしいという話もあるんです。実は新潟JAさんからもお話をいただき、オリジナルの開発を進めています。このように希望する団体様に送料をご負担いただき、開発を進める取り組みも行っています。

「参考にした海外のパスタストローとの違いは何ですか?」

パスタはソースが良く絡むようにということで表面がざらざらしています。またアレルギーの問題もあるので小麦を原料にすることは考えていませんでした。米ストローは製菓用の食用着色料を使用してますが、小麦はうまく染まらないんです。見た目の違い、耐久性、アレルギーの問題が大きな違いです。プラスチック削減を楽しみながら行っていただくためにもかわいらしいきれいな色を楽しむことも大切にしています。

「エコな事業をしている上でどんなところにやりがいを感じていますか?」

長崎県佐世保の出身で、田舎で育ったんですけど、海のゴミが増えているなと感じています。裸足で子供を海岸で走らせられないくらいプラごみが多いんです。昔の海を取り戻したいと思っています。エコも楽しみながらならできるんじゃないかと思っていて、エコバックもいろんなデザインや色があると楽しめるから、ストローもきれいな半透明の色を付けたんです。いろんな場面でこのストローを知ってもらって、プラごみを減らすきっかけになったり、日本って、生ごみが多く、この課題が解決できていないんですが、このストローからコンポストを考えるきっかけにしてほしいと思っています。先日農家の方に、米粉でできてると驚かれ、くず米が海外に行くかもしれないということで農家の光になってほしいと言われました。このような教育の場でも取り上げられることで、ストローゴミが減るきっかけになってほしいと思っています。

 

学生からの感想では、

「もともと環境意識がすごい高い人ではなかったという話に驚きました。」
「プラスチック削減に真摯に向き合っており、刺激を受けました。」
「起業されてからあまり時間が経っていませんがしっかり利益も出ており、更にどのような未来に向かって行きたいのかも明確に持っていらっしゃって、もし自分が将来起業することがあれば見習いたいと思いました。」
「いつ頃から起業を考えてましたか?起業するにあたり苦労した点もあれば教えていただきたいです。また、コロナ禍で受けた打撃等も有れば教えていただきたいです。」
「U-pay社長の話を聞いて、世界に目を向けるとプラスチックが引き起こしている問題を考えて、海洋生物に被害を与えなく食べられるストローを開発したということはすごくいいアイディアだと思う。私たち自身も、このプラスチック問題や環境の問題について真剣に考えるようになると思う。」
「日本は生ゴミの処理が遅れていることやプラゴミが多いことから昔の海を取り戻す日本のエコを変えていくことは素敵だと感じました。私達ももっと環境に向き合ってどうあるべきか考える必要があると思いました。」
「「自分には何もなかった」や「人は多面の中の一面」と言いづらいであろう事を言ってくれて感銘を受けた」
「お米を使うことでお米の消費量増加や脱プラスチックに貢献できる点に魅力を感じ、とても興味を持ちました。実際に米ストローを使用してコーヒーを飲んでみて紙ストローだと柔らかくなって飲みづらくなるけれど米ストローは最後まで変わらず美味しく飲むことができました。家族や友人にもおすすめしたいと思います。今回は多くの貴重なお話ありがとうございました。」

と様々な感想がありました。

上官社長からは、学生の皆さんへ、「情報を集めすぎないこと」「考えすぎない」「自分の気持ちを最優先に」「思い切って自分のルーティンを変えてみる」の4つを大切にしているとのことで、ネガティブにならないようにアドバイスをいただき、「自分にとって心地よい未来を自分で創っていきましょう」とエールまでいただきました。

2023年の世界水泳、福岡PayPayドーム、長崎ハウステンボス、東京パレスホテル、広島カープ、サンフレッチェ広島などにも米ストローの採用が進んでいるそうです。

 

上官様、お忙しいところ貴重なお話をありがとうございました。

【関連リンク】

株式会社U Pay


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