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【授業紹介】JAえちご上越の挑戦<食産業ビジネス演習Ⅰ>

本学では2年次より3つのコースに分かれ、専門知識・技術を修得します。
3年次ビジネスコース科目『食産業ビジネス演習Ⅰ』ではゲスト講師による講話やフィールドワークを通して、将来の食産業の展望や課題の解決策に対する考察を高めるために、地域や企業と連携したケーススタディに取り組みます。

今年度の大テーマは【農産物直売所をどう活性化していくか】。
新潟県新発田市に本社がある株式会社せいだ様のご協力を得て、同社が運営する農産物直売所「農家の店とんとん」の活性化策を考えます!
最終的な目標としては、①地域と連携したイベント、②直売所が実施すべき食農教育、③農副連携の3つのテーマから調査、分析を行い、それらを基に活性化策を提案します。

4/18(木)の授業では事前知識の習得として、えちご上越農業協同組合 常務理事 岩崎健二 様より「米単作地帯における園芸産地づくりへの挑戦 農産物直売所の仕掛けと商品開発 あるるん畑の歩み」と題してお話をいただきました。


■厳しい農業情勢から生まれた想い

世界での人口増加、紛争に伴う食糧危機や小麦などの食料価格高騰、止まらない地球温暖化に加え、日本では食料自給率の低さなど農業は生産面・販売面ともに厳しい情勢。

このままでは生産基盤を守れないと感じた岩崎様は「農家さんの所得を増やしたい!」という想いが芽生え、野菜や果物など新たに園芸作物を生産し、「直売所」で販売するプロジェクトのリーダーの担当に。


■農家のやる気を引き出し、直売所を盛り上げのために奮闘の毎日

上越市は豪雪地帯で積雪の重さでビニルハウスが潰れてしまうほど。
そんな豪雪地帯では冬場は野菜が栽培できないと最初は農家の理解を得ることは難しかったそう。
直売所は農家が商品を持ち込み、値段や数量も農家自身が決定します。そのため、生産者に対しても対価が大きくなければ持ち込む農家は減り、新鮮でおいしい作物がなければ消費者の足も遠のくという悪循環に…。
この悪循環を断ち切るため、様々な取り組みを実施。
「作れば売れる、儲かる」体験を重ねた農家は、「次は何を作れば売れる?」と園芸作物や健康野菜など、消費者ニーズを考え、生産、販売をするようになりました。

実際に取り組んだ一例として4つお話しいただきました。

①    販売データを活用した栽培カレンダーの作成、配布
②    小売りスーパーにはない魅力「健康野菜コーナー」の設置
③    豪雪地帯だからできる雪中で生育、貯蔵された雪下野菜「雪下畑の仲間たち」
④    年間50回以上のスーパーにはない多彩なイベントを行い、野菜を集め、売り切る

様々な取り組みから直売所設立13年目には直売所取り扱い額は6.7億円に。
全国各地の農協が視察に訪れるようになり、マスコミにも数多く取り上げられました。




■学生へメッセージ

最後に岩崎様より未来を担う学生にメッセージをいただきました。
「『ビジョン・ミッション・パッション・アクション』この4つがキーワード。
産業振興と地域活性化には夢やビジョンを描ける人材と、戦略を描いて農家に語る熱意、農家を巻き込む行動力が重要。」
講義後には活発な質疑応答も。
岩崎様の強い想いとあるるん畑の軌跡をうかがい、学生の意欲も増したように感じました。

■講義を受けた学生の感想

講義を受けた学生の感想を紹介します。
岩崎様をリーダーに取り組んだ、直売所での農家のやる気を引き出す施策に対して、
「直売所は農家の所得向上につながるだけでなく、農家が消費者と直接関わることで農家のやりがいつながっていることがわかった」
「年間50回を超えるイベントを通じて、地域の人々が集まり、交流を深める機会を提供していると思った」
などの声が聞かれました。
また、「JAが農業への支援のみならず、生活支援や病院まで幅広い事業をおこなっていることが理解できた」という学生も複数いました。
どの学生も、あるるん畑を立ち上げた当初の苦労を振り返り、涙を交えながら話してくださった岩崎様に「成功の影にある苦労を知った」「農業に命をかけてる姿がすごくかっこいい」など心を動かされたようでした。

N-magでは様々な授業を紹介しております。
今後もお楽しみに!


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