授業紹介
【授業紹介】「農福連携とは?~社会福祉法人とよさか福祉会の取り組みから~」〈食産業ビジネス演習〉
本学では2年次より3つのコースに分かれ、専門知識・技術を修得します。
3年次ビジネスコース科目『食産業ビジネス演習Ⅰ』ではゲスト講師による講話やフィールドワークを通して、
将来の食産業の展望や課題の解決策に対する考察を高めるために、地域や企業と連携したケーススタディに取り組みます。
今年度の大テーマは【農産物直売所をどう活性化していくか】
新潟県新発田市に本社がある株式会社せいだ様のご協力を得て、同社が運営する農産物直売所「とんとん市場」の活性化策を考えます!
最終的な目標としては
①地域と連携したイベント
②直売所が実施すべき食農教育
③農福連携
の3つのテーマから調査、分析を行い、それらを基に活性化策を提案します。
5月16日(木)の「食産業ビジネス演習Ⅰ」の授業では、農福連携をテーマに
社会福祉法人とよさか福祉会豊栄福祉交流センター クローバーの管理者・支援課長の小林誉尚様、
新潟県農林水産部 経営普及課 普及情報係 主査の野﨑理様よりお話をお伺いました。
社会福祉法人とよさか福祉会 支援課長の林誉尚様より
「農福連携の取り組み・DONBASS COFFEE ROASTERS by SUZUKI COFFEEについて」
■農福連携の状況について
社会福祉法人とよさか福祉会の小林誉尚支援課長は、令和2年度から県農福連携コーディネーターとして
村上市、胎内市、聖籠町、新発田市、阿賀野市、阿賀町における農福連携推進の活動を行っています。
4年間で農家側から依頼のうち、マッチングできた仕事の案件は60件、マッチングした福祉事業所は延べ36件でした。
農家からの依頼はあっても応えられる事業所が少ないというのが現状だそうです。
■「ノウフク連携のイメージは?」「福祉と○○」をテーマにグループワーク
4つのグループに分かれ、①障がいをもつ人が農業でどんな仕事を担うことができるか、②福祉との掛け算が可能なキーワードを出し合いました。
①「ノウフク連携のイメージは?」
【学生の意見】
掃除、スケジュール管理、6次化、デザイン、草刈り、選定、包装、運搬、パック詰め
②「福祉と○○」
【学生の意見】
食、飲食、栄養、健康、学校、教育、イベント、ゲーム、スポーツ、ラグビー、SNS・ネット、WEBデザイン、映画
はじめは「どんなことができるのかイメージできないと難しい」との意見もありましたが、
グループワークを通し、食やビジネスに関することをはじめ、たくさんの意見が出ました。
■福祉とコーヒー
クローバーは就労継続支援B型の事業所として、お菓子や納豆など、農産加工や販売を行っています。
また、2023年7月、新潟県でコーヒー豆の卸やカフェ経営を行う株式会社鈴木コーヒーのバックアップを受け、
コーヒー焙煎工場&カフェ「DONBASS COFFEE ROASTERS by SUZUKI COFFEE」をオープンしました。
カフェ内にある焙煎工場で焙煎した豆をサスティナブルコーヒーとして商品化をしたり、クローバー利用者のアート作品をカフェ内に展示したりしています。
■障がいって?障がい者って?
カフェをオープンするにあたって、はじめは全員がコーヒーの初心者だったので、いちから学び始めたコーヒーでした。
それが今では職員よりハンドドリップが上手な利用者(就労にむけて訓練を受けている障がい者)がいるとのこと。
「最高においしいコーヒーを出したい」という思いを全員が持っており、障害の有無は関係なく、
ひとつのチームとしてその人がその人らしく輝ける場作りをしているそうです。
小林支援課長は「それでいい そのままでいい」
“なにもしないことではない ひとそれぞれ自分らしい花を咲かせること それを信じること”
という言葉を大切にされているそうです。
新潟県農林水産部 経営普及課 普及情報係 主査の野﨑理様より「新潟県の農福連携の取り組みについて」
■新潟県の農福連携の現状と課題
野﨑主査から、農業側では「人手不足」が問題となっており、福祉側では利用者の工賃向上、生き甲斐、働き甲斐につながるものの、
実際に取り組みを行っている施設は4割程度となっているとのお話がありました。
そこで、新潟県は「お試しノウフク」などを通じた認知度向上や支援人材の育成、障害者の受入に必要な簡易設備設置の取組を支援しています。
農福連携の取り組みは増加しているものの、数としては十分ではなく、新規取り組み者の確保と取り組みの継続性が課題だそうです。
■新潟県の農福連携の取組について
新潟県では、農福連携を進めるためさまざまな事業を実施しています。
・農福連携コーディネーター配置事業
令和2年度から県内3地区(上越・中越・下越)の福祉事業所に、農福連携に取り組みたい
農業者と障害福祉事業所のマッチングなどを行うコーディネーターを配置
・農福連携マルシェ開催事業
農福連携で生まれた地域の農産品や加工品を広く紹介する「マルシェ」を開催し、農福連携の普及啓発を図る
質疑応答の時間には
「障害者として認定されている人の数は以前よりも増えていますか?」、「工賃の基準は何ですか?」、「障害者施設で作られているお菓子の価格が低い印象がありますが、利益率はどのくらいですか?」と福祉に関する質問が多く寄せられました。また、「障害者がどう働くのか、どう受け入れてもらえるのかよくわかりました」、「障害がある人も生きやすい社会になるといいと思います」との感想もあり、農福連携だけでなく、障害福祉に関する学びが深まりました。
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