N-mag

【授業紹介】「米」を科学的に学ぶ!〈食料産業基礎実習〉

1年次前期必修科目である「食料産業基礎実習」では、食料産業(フードチェーン)を食・農・ビジネスの視点から一体的に学びます。
5/24(金)の授業では「米」をテーマにアグリコース・フードコースが連携して行いました!



■アグリコース
【イネ(米)は夏バテで美味しくなくなる;その原因と解決法】


地球温暖化により、日本の平均気温が上昇を続けており、イネも夏バテしてしまいます。
イネの夏バテ;高温登熟障害(高温で米が十分に実れない)

高温登熟障害による問題点は
①白濁した米、割れた米が増えてしまう
②不味くなる
→等級(※)が低下し、米の値段が下がってしまう


※米の等級
1等級~3等級まであり、整粒歩合によって決められています。
出荷する際の基準であり、等級が低下すると価格が下がってしまいます。

気温が高いことによって米が美味しくなくなる理由を植物の構造から解説していただきました。

また、美味しい米の特徴は整粒歩合の高い米(=粒が大きく、揃った米)であり、
「粘りが強く、タンパク質濃度が低い」ことが美味しい理由です。

イネの夏バテ問題の対策を解説

①暑い夏に強い品種
②追肥などでイネの窒素濃度を高める
→食味を低下させるリスクあり
③ケイ酸を施用
・ケイ酸資材の施用により、白未熟粒と胴割れ粒の割合が減少
・根の吸水力の増加
・気孔開度が増加し、光合成が促進
生産性、品質向上(胴割れ抑制)につながる




■フードコース
【2種類の米を食べ比べ、「ご飯」を科学的に味わってみよう】

フードコースでは、お米の食味に影響するデンプンの種類と構造について、まずは品種を伏せた状態で2種類の飯米(A, B)を食べ比べました。

学生の感想としては、Aの飯米は多くの学生が「おいしい」と回答し、Bの飯米は好みが分かれる結果となりました。

〈学生の感想〉
Aの飯米
・もちもちしている
・粘り気が多い
・Bより食べやすい

Bの飯米
・食感が好き
・香り高い
・粘り気が少なく、甘くない
・あまり馴染みのない味

ここで注目してほしいのは、Aの飯米の「もちもちしている」「粘り気が多い」とBの飯米の「粘り気が少なく、甘くない」という、主に食感に関する感想です。

この食感の違いに大きく影響するのが、お米に含まれる「アミロース」と「アミロペクチン」という構造が異なる2種類のデンプンです。
理科の実験でおなじみの"でんぷんのヨウ素反応"で調べてみると、こんなにも色に違いが現れました。


枝分かれしない直鎖状のらせん構造をもつアミロースが含まれている割合が高いと青寄りの色になる、という断片的な情報を頼りにして、学生たちは「ヨウ素反応の色の違い」「2種類のデンプンを含む割合の大小」「食べ比べした食感」について、どのような関係性にあるのか"推理"しながら、統合的に理解しようとしていました。

ちなみに、Aはもち米、Bはうるち米(※ジャスミンライス)でした。



■1等米、2等米の食べ比べ
アグリコース、フードコースの授業を通して、それぞれの視点から「米」について学びを深めた後に1等米と2等米の食べ比べを行い、食感、風味等の観点から評価をしました!

【食味評価の結果】
マークあり:柔らかい
マークなし:硬さを感じる

1等米は「マークなし」で、1等米のしっかりとした粒感を学生たちも感じたようです。また、おおまかな印象では、マークなし(1等米)の方が好き、と感じた学生が多かったようです。





身近な主食である「米」を実際に食べ、体験しながら科学的な知識を学びました。
そして、先生の解説を聞き、自給率をはじめとした日本の農業について考えるきっかけにもなりました。地球環境の変化に応じた持続可能な農業の大切さを考えて、学びを深めていってほしいですね!


関連記事