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【第87回】国会というところ その2 常識&非常識

議員のことを英語でLaw maker(立法家)といいますが、わが国で使命を果たしているでしょうか。

唯一の立法機関

憲法第41条には「唯一の立法機関」とあり、国会議員は大いに法律を提案して、議論する責務があります。提案は、現在、内閣、衆・参両院からなされていますが、内閣提出法案の9割が成立、議員提出では2割です。
なお、田中角栄さんは議員時代に史上最多の33本を提案し、成立させています。

事前審査制度、党議拘束

内閣提出法案の成立確率が高い背景には、与党の「事前審査制度」「党議拘束」があります。自民党の「政務調査会」(政調)には17の部会があり各省庁に対応して、法案の国会提出に先立って、活発な議論とコンセンサス作りが行われます。ここの了承があれば法案成立は約束されたようなものです。
なお、議員は委員会などで自分の意見による賛否で投票することは許されません。党内で決まったとおりに投票するのを「党議拘束」といいます。
例外は「郵政民営化法」で、自民党に造反が相当数出て法案が否決されてしまいました。
後に待っていたのは、解散・総選挙➠造反組は公認しない➠落選という厳しい扱いでした。
党議拘束が民主的かどうか判断は難しいところです。

国会の花・予算委員会            

①一番広い部屋で行われる、②なにを質問してもいい、③テレビ中継もありなど、予算委員会は「国会の花」です。衆・参両院は何かと張り合い、「違い」を出そうとしますので、委員会室名も(衆)は「委員室」、(参)では「委員会室」です。
質問時間のカウントは(衆)は質疑・応答全体(往復)で、(参)は質問者の質疑時間分だけ時計が進む(片道)といった具合です。

さて、テレビ中継を見ていて、気がつきませんか?
最前列・与野党理事の隣辺り、テレビ写りのよい席に当選回数の浅い議員が交代で座っています。委員会のメンバーは「席替え」が可能ですので、自分の選挙区へのPRのために着席に配慮がなされているようです。

それともう一つ、政府側の席の後方で、時々あくびを噛み殺したり、半分眠りかけの人もいますね。
お気の毒に、質問者からの項目・内容通告が、本来は質問2日前の昼までの取り決めなのに、実態は前日の真夜中、徹夜だったのでしょう。ここは大いに改善の余地があります。

質問主意書

もう一つ、特異な仕組みとして「質問主意書」があります。少数野党に質問時間配分でかなりの配慮をしたうえに、さらにペーパーベースでも質問を認めて、民主的な議論を進めるため国会法74条で定められているものです。

質問主意書発出➠各省に通告➠1週間以内に答弁書作成➠閣議決定ととても忙しいことになります。「通常業務はストップ」して、精神的にも肉体的にも過酷なことです。閣議決定ではなく担当大臣の答弁で代える国もありますので、ここにも改善の余地ありです。
ごく最近の事例をあげます。小泉進次郎環境大臣が、気候変動に関連して発言した「セクシー」という言葉の意味を問うとの質問主意書が出され、閣議決定された答弁書は「魅力的という意味であろう」となっていて、本当にこれでいいのか迷います。     

 


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