学長コラム
【第118回】楽しい話、いい話 その2
楽しい話、いい話シリーズの第2弾ですが、今回はそれに加えて「気になった話」も追加しました。
●新潟県の人口
日経新聞に連載されていた伊集院静さんの小説「みちくさ先生」からの引用です。
・・・1897年(明治30年)に、東京府の人口は、1位の新潟、2位の大阪を抜いて、第1位になった。・・・
これから推察すると、明治維新以来の約30年間、新潟県は日本最大の人口を擁する大県だったのです。
なぜ地位が下がったのかを調べてみる、考えてみるのもよいことだと思います。
●朱鷺(トキ)の別名
五木寛之さんが「桃の花鳥」と言ったとメモがしてありますが、残念ながら、詳しい「出所は不明」です。
でも、とてもしゃれていると思いませんか?
ちなみにウグイス(鶯)は、別名を「春告鳥」ともいいます。
また、鶯が留まる梅のことは、和歌が生まれるからでしょうか、古典文学では「好文木」とか「鶯宿梅」などとしゃれた呼び方をすることもあります。(謡曲「東北」から)
●北陸の鮮魚が新幹線で東京へ
JR東とJR西の共同サービスです。
「北陸新幹線」で北陸地方の鮮魚を東京都内へ運び、イトーヨーカ堂の店舗に納入するというのです。
6月のある日のこと、「早朝にとれたブリの幼魚・フクラギ」の30箱分が東京駅に運ばれたと報じられています。
店頭での名称は「朝どれ鮮魚」、車内の置き場所は、ワゴンのスペースの活用です。
これを鉄道用語では「貨客混載」といい、かつての在来線では時々見かける光景だったのですが、新幹線では嫌われていました。
新型コロナで乗客も運賃収入も減少したため、「背に腹は代えられなくなった」ということなのでしょうか。
ただ、北陸新幹線が初めてのアイデアと実践ではなくて、これより少し前から上越新幹線では実験中のようです。
東北・北海道新幹線の場合には、15年ほど昔になりますが、私たちの北大水産学部で、研究チームが同じ提案をしたことがあります。
ただし、この提案にたいして、JR、とくにJR北海道は消極的で、「けんもほろろ」の対応だったという報告を受けました。
私たちは、「まあ、いつか誰かがやるさ」と思っていましたので、「やった者が勝ち」でしたね。
皆さんの提案やアイデアも、すぐには採用されなかったからといってがっかりせずに、蓄積・熟成・整理をしておくと、いつか時と季節を得て花が開くことがあるのを忘れずにいましょう。
●独創性は「型」の狭い門から
学術研究で独創性が重要とされるが、それは「独自だと称して勝手に自説を主張すること」ではない。
独創性のベースには何百年にもわたって研究を積み上げてきた確固とした「型」があるのだから、それに精通して、その限界を見極め破ってという「狭い門」から初めて独創性が作り出される。
18代目勘三郎は、「型があるから型破り。型がなければ形なし」と喝破している。(日経新聞「大機小機コラム)での指摘)
●木枯らし一号と春一番
関東地方では、昨年は「木枯らし一号」が吹かなかった。
①冬型の気圧配置、②風速8m以上、③11月末日までの気象がそろわなかったのだ。
一方、<春の到来>の象徴は、春分までに吹く暖い強風が「春一番」で、最近は「よい意味」で使われる。
本来は、漁業・漁村で「厳しい意味」に用いられる。
暴風で漁船が遭難し、多くの死者を出したこともある。
「春一番に要注意」が各地の浜の言伝えで、長崎の碑文から民俗学者の宮本常一が初めて全国に紹介したといわれています。