学長コラム
【第135回】マンホールの蓋あれこれ
マンホールの話ではなく、マンホールの「ふた」(蓋)の話である。
まずは災害時に、臨時・非常用のトイレとして使う下水道の入口としてのマンホール、次いで、普段は歩行者の邪魔者扱いだが、観光地の景色などPRの一環を担う彩色のマンホールの蓋、そして、さらに進めば、これをファッションのデザインとして活用するなどの発想の転換といった話につなげていきたい。
災害用トイレ・災害用水源
東京市ヶ谷の自宅の前に新しいマンションが建設された。その玄関前の公開空地を見て驚いた。
マンホール蓋の一つに「災害非常用トイレ」と記されている。調べてみれば、災害時に建物内のトイレが使えない場合、このマンホールの蓋を開け上にポリスボックス型覆いをすれば「臨時トイレ」として使えるというわけである。
確認はしていないが、そうした付属品はマンション内に備蓄されているのだろうし、マンホールには落下の防止の工夫もあるのだろう。千代田区は防災、災害対策に熱心で、区内の伝統的小学校などには、災害時の井戸も整備されている。食と排便は人間に不可欠だ。
安曇野・穂高は常念岳
長野・松本と新潟・糸魚川を結ぶ全長105kmの大糸線、長野県の南小谷までの70kmはJR東の電化区間、それより先新潟の糸魚川までの35kmはJR西の非電化区間である。JR西区間は輸送密度50人/日という厳しい状況にある。
さて、松本を出た電車が信濃川の上流に当たる「梓川」を渡ると、そこから先が「安曇野」である。いま安曇野市に統合された旧穂高町の名物は、なんといっても西の常念岳、旧町の下水道のマンホールのデザインも常念山脈を背景にしたシャクナゲで、随所に彩色のものが存在する。
最近は、「撮り鉄」ならぬ「撮り蓋」も多いようで、ときどき見かける。
マンホールの蓋のデザインでTシャツを
さて、北へともう一歩を運べば、次なる観光地は「スキーのメッカ・白馬村」である。かつての駅名は、確か「信濃四谷」、いまはすっかり「白馬」それも「しろうま」(代掻き馬)ではなく「はくば」が定着した。
8月17日付けの信濃毎日新聞は、京都のあるファッション・メーカーが「白馬村のマンホールの蓋」の画像を刷り込んだTシャツを販売し始めたと報じた。こちらのデザインは、「白馬三山を背景にしたカタクリの花」とか。これもなかなかよい出来である。
男女共同参画で
余談である。男と女という差別はいけないと、最近では、消防士のfire‐manをfire‐fighterに、議長のchair‐manをchair‐personに変えてきている。さて、「マンホール」はどんな言い換えになるか。
そして、まさかだが、<his・tory はher・toryへ>ではないだろう。