学長コラム
【第142回】おコメの名前、ウマの名前
新潟のおコメ ー コシヒカリ
イネの作付面積で第1位はコシヒカリで、全国の水田の1/3以上に作付されている。
2020年産で35%。さらに、イネ品種の作付トップ10はすべてコシヒカリの子孫だ。(品種改良の時に、コシヒカリが親や祖父母になっている)
このコシヒカリは、よく知られているように、新潟県農業試験場で交配され、福井県農業試験場で育成されたものである。
コメの品種銘柄
「農産物検査法」の検査に合格すると品種登録ができ名乗れて、これを「産地品種銘柄」という。
主食に向けられる「うるち米」の品種の数は、2020年産で921である。
うるち米以外では、もち米(2019年産で132)、酒米(酒造好適米223)がある。
酒米は、心白が大きく麹菌が入って、発酵がしやすい性格を持つ。
有名なのは、兵庫の「山田錦」、岡山の「雄町」、もっともポピュラーなのが「五百万石」であろう。
コメの名前はどうつける
さて、新品種が開発・育成されると、これを実施した国、県、民間の試験場が自ら名前をつけるか、あるいは、一般募集するということになる。
かつての暗黙の決まりでは、①国が開発をしたり、開発の指示をした場合には、コシヒカリ、ササニシキのように「カタカナ」で6文字以内の名前とし、②都道府県独自の開発であれば「ひらがな」「漢字」も許されたようであるが、いまはそれも崩れている。
外国では、コシヒカリを漢字にして「越光」などと表示している例もあった。
一方、ひとめぼれ、森のくまさん、ほほほの穂、きらら397などは都道府県試験場が開発した品種銘柄である。
最近の品種では、上育(上川農試)453の「ゆめぴりか」や、1984年秋田県開発「あきたこまち」、2009年山形県開発「つや姫」(はえぬき、どまんなかに代わる新ブランドで公募・県民投票の命名)、そして、新潟県が開発した「新之助」、こちらは、新幹線・新潟駅で<エンガワ寿司>にも使われている。
もう少し命名の裏話をすると、「きらら397」のもともとの名は「上育397」、これは、北海道の上川農業試験場が開発した育種番号397番であった。
期待を込め道内に名称を一般募集したところ、「きらら」が当選、しかし、商標登録の段階で類似名称があったらしく、育種番号の397を加えて「きらら397」としたところ大ブレークしたと聞いている。
これからは、ひとめぼれ、青天の霹靂、夢若丸などに見られるように消費者参加型の流通で、公募が増えるだろう。
競走馬はどうつける
さて、話は変わって、次は、競走馬の名前の付け方である。
毎年、中央競馬、地方競馬を合わせて7700頭のサラブレッドが生まれるが、命名には、国内外ともに明確なルールがある。
しかし、ときには、すれすれの楽しい名前も見かける。
現役競走馬との同名や紛らわしい名前は禁じられ、枠順を表すアカ、アオなど「色」も禁止である。
名称は、カタカナで2~9文字、アルファベットでは18文字以内とされる。
おもしろい馬名あれこれ
中央競馬では、「アイアムハヤスギル」「オヌシナニモノ」「マツリダワッショイ」「オレハマッテルゼ」などがあり、何年か前のジャパンカップでは、「ヨネンサンクミ」という馬が走っていた。
想像するに、かわいいお孫さんのクラスにちなんだ名前だろう。
なお、2006年の高松宮記念レース(G1)では、「オレハマッテルゼ」が優勝している。
そして、地方競馬では、「サバノミッソーニ」「ブタノカックーニ」という珍な名前もあったと報じられている。