学長コラム
【第152回】ユーモアのレッスン
超ロングセラーで多くの若者に読まれている「思考の整理学」(1983年刊)で有名な外山滋比古さん(2020年死去)は、私の大学の先輩であり、また、大学1年のとき英語を教えていただいた先生です。
著作に「ユーモアのレッスン」があると知り、早速購入、読んでみた。
とても楽しい、外山先生らしい本だったので、そのなかから、my favoriteをいくつか、さわりだけだが、紹介したい。
皆さんにも、気に入り、関心があったらぜひお読みいただきたい。
まず、外山先生は言う。
「ユーモアは言葉の教養だ。言葉を実用ではなく遊びとして使うのだから、受け手にも言葉に対する洗練された感覚がないといけない」
時計 (アメリカの田舎の駅で)
時計が二つあるが、これがいつも違った時刻を示している。
「みっともないから、時刻を合わせておいたらどうか」
駅長のいわく、「同じ時刻だったら、二つある甲斐がありません」
こんなところにも多様性が…
B教授の休講
教授がドアに掲示を出した。
「B教授は、本日、classes(学生たち)に会えません」
学生が『c』の一文字を消し、「lasses(娘っ子)に会えません」へ、
教授はさらに『l』削って、「B教授は、asses(馬鹿ども)に会えません」
おお英文学の妙!
日本でも、ドアのいたずら書きに対して、女の子のアニメで、「キズはいや!」と書いたところ、『ズ』の濁点を削り、「キスはいや!」と変えてしまった。
戦時下の話では、「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」の『工』を削り「夫が足らぬ」、「ぜいたくは敵」では『素』を加えて「ぜいたくは素敵」に変えたユーモアが有名だ。
とり違え
バーナードショウに恋したある女流ダンサーが手紙を書いた。
「優生学が教えているのに、私たちが一緒になれないのはとても残念です。私の肉体と貴方の頭脳を持ったらどんな子供になるでしょう」バーナードショウから、「わかっています。運悪く、私の肉体と貴女の頭脳を持った子供のこともご想像ください」
カネヲクレタノム
こちらは「カネ/ヲクレ/タノム」と「カネヲ/クレタ/ノム」の思込み違いで有名だが、もう一つのユーモアに父親のトンデモ誤解がある。
電報を見て、「なんだ、せっかく高い金を出して学校に行かせているのに、こんなカタカナばかりで、子供みたいな文章しか書けないのか」
母親の思込みでほほえましいのは、小学生の子供の授業参観で習字に「ははたいせつ」(=母大切?)とあるのを見て感激したら、実は「歯は大切」だった。
母親はいつもわが子には好意的。
ある総理の英語力
これはクリントン大統領時代だから、たぶん、M総理のことだろう。
あいさつぐらい英語でやりたいと、決まり文句をうろ覚え。
ところが、本番ではちょっとした言い間違え?
How are you? I’m fine thank you. And you? Me too.
と進むかと思いきや、出だしから大間違い、結果はご覧のとおり。
Who are you? I’m Hillary’s husband. Me too.
と来た。
あらまあ、まさに、Oh my God! である。